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公開日:2020年4月21日

いま中小企業に求められる「パワハラ防止策」のポイント 月刊「企業実務」 2020年5月号

山本 喜一(社会保険労務士法人 日本人事 特定社会保険労務士)


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パワハラ防止指針のポイントを概観する

求められる実務対応と留意点

事業主に義務づけられる雇用管理上講ずべき措置とは


パワハラ防止措置が、大企業ではことし6月から、中小企業では2022年4月から義務化されます。
ことし1月に公表されたパワハラに関する指針を踏まえ、現場で求められる防止策を解説します。


パワハラ防止指針のポイントを概観する

セクシュアルハラスメント(以下、「セクハラ」)については、セクシュアルなことはそもそも会社に持ち込むべきではないこともあり、多くの会社で一定の共通認識ができてきたように感じます。
なた、出産・育児にまつわるマタニティハラスメント、男性の育児にまつわるパタニティハラスメント、介護にまつわるケアハラスメント(以下、総称して「マタハラ等」)も、直観的に理解しやすいところだと思います。
一方、パワーハラスメント(以下、「パワハラ」)については、会社の中でパワー(優越的地位)の差が様々なところにあり、また業務上、上司が部下に対して注意・指導を行うこともあるため、パワハラの線引きは難しいと感じる人が多いと思います。
現場では管理職がパワハラと言われることを恐れて、注意・指導を躊躇しているという話をよく聞きます。管理職研修やハラスメント研修等で管理職に理解を促すことはもちろん、一般職にも気に入らないことは何でも「ハラスメントだ!」と言うことは違うということも伝える必要があります。

パワハラ防止法とパワハラ防止指針のあらまし

(1)パワハラ防止法とは
一般に「パワハラ防止法」と呼ばれるものは、2019年5月に「労働施策総合推進法」(正式には、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)が改正され(以下、「改正法」)、その30条の2第1項に、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と、定められたことによります。
また、雇用管理上必要とされる具体的な措置については、ことし1月に公表された「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(以下、「パワハラ指針」)に記載されています。
この改正法の施行と指針の適用は、ことし6月1日(中小事業主は、2022年4月1日[それまでは努力義務])です。
また、セクハラ、マタハラ等の防止についても見直され、「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」の改正により、ことし6月1日から適用されます。
セクハラに関する指針については、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(以下、「セクハラ指針」)に記載されています。

(2)パワハラの定義
パワハラ指針では、職場における「パワーハラスメント 」とは、職場において行なわれる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素をすべて満たすものをいうとされています(図表1)。

図表1 パワハラの定義図表1 パワハラの定義

ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行なわれる適正な業務指示や指導については、パワハラには該当しないとされています。
また、典型的に職場におけるパワハラに該当すると考えられる言動、該当しないと考えられる言動の例も指針に記載されています(図表2)。

図表2 パワハラに該当する・該当しないと考えられる言動の例図表2 パワハラに該当する・該当しないと考えられる言動の例

ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、また、例は限定列挙ではない(指針に記載していないものはパワハラではないということではない)ことに十分留意することとされています。

(3)事業主と労働者の責務
パワハラ指針では、事業主の責務と労働者の責務が示されており、事業主・労働者それぞれに対して、次の事項に努めることとさ れています。


【1】事業主の責務
・職場におけるパワハラを行なってはならないこと等これに起因する問題(以下「ハラスメント問題」)に対する労働者の関心と理解を深めること
・その雇用する労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行なうこと
・事業主自身(法人の場合はその役員)がハラスメント問題に関する関心と理解を め、労働者に対する言動に必要な注意を払うこと

【2】労働者の責務
・ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと
・事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

(続く)

企業実務



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