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公開日:2019年11月21日

早めに準備したい 同一労働同一賃金へのアプローチ 月刊「企業実務」 2019年12月号

瓜阪早貴(ドリームサポート社労士法人 社会保険労務士)


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同一労働同一賃金とは

「不合理な優遇差」の判断基準は?

不合理性を残さないために会社がやるべきこと


「働き方改革関連法」により、2020年4月から、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されることとなります。
本稿では、不合理な待遇差の解消に向けて、会社が具体的にどのような取組みをすればよいかを解説します。

同一労働同一賃金とは

働き方改革の大きな柱のひとつである「同一労働同一賃金」のスタートが近づいてきました。パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法が改正され、「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されます。施行日は大企業が2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日です。
「時間外労働の上限規制」や「年次有給休暇の時季指定義務化」等、明確な数値の決まりがある対策に比べ、同一労働同一賃金の対策はどうすればよいか迷ってしまうことが多いのではないでしょうか。
そこで、以下では同一労働同一賃金の考え方や会社がとるべき対策等について説明します。


同一労働同一賃金の目的

同一労働同一賃金の目的は、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにし、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることです。
そのために、同じ社内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間において不合理な待遇差をなくすことが会社に求められています。


改正ポイントは3つ

今回の改正ポイントは、図表1のとおり、(1)不合理な待遇差の禁 止、(2)労働者に対する待遇に関する説明義務、(3)行政による履行確保措置と行政ADRの整備です。

図表1 パートタイム・有期雇用労働法のポイント図表1 パートタイム・有期雇用労働法のポイント

以下、ポイントを解説します。


(1)不合理な待遇差の禁止
正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間における不合理な待遇差は禁止され、図表2のとおり、裁判時の根拠規定となる「均衡待遇」「均等待遇」が整備されました。

図表2 整備された「均衡待遇」と「均等待遇」図表2 整備された「均衡待遇」と「均等待遇」

「均衡待遇」は、(1)または(2)が異なる場合は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に不合理な待遇差がないこと、「その他の事情」を考慮したうえで不合理性を残さないこと、という捉え方です。
なお、その他の事情は(1)、(2)以外の「成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯」等が想定されています。
この法整備をふまえ、基本給や賞与、各種手当、福利厚生等の待遇を見直すことが必要となります。単に「パートだから」「有期雇用だから」といった理由はもちろん、「将来の役割期待が異なるから」といった主観的な理由も認められません。

(2)労働者に対する待遇に関する説明義務
会社は、非正規雇用労働者の求めに応じて、正規雇用労働者との待遇差の内容や理由について説明しなければなりません。労働者に納得してもらえるように、丁寧な説明を心がけましょう。
また、説明を求めた非正規雇用労働者に対して、解雇等の不利益な取扱いをすることは禁止されています。
説明にあたり、図表3のようにあらかじめ文書でまとめておくと、トラブルを防止するのに効果的です。

図表3 正規雇用労働者との待遇差の内容と理由の記載例図表3 正規雇用労働者との待遇差の内容と理由の記載例

(3)行政による履行確保措置と行政ADRの整備
行政による助言・指導等や、会社と労働者との間の紛争を裁判せずに解決する手続き(行政ADR)の規定が整備されました。労働局においては、無料・非公開の紛争解決手続きを行なうとしています。
行政による「助言・指導等」は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者に不合理な待遇差が認められた場合、「是正勧告」の可能性があることを意味します。改善すべきところをそのままにしておくのは危険、ということを肝に銘じておきましょう。


「合理的」と「不合理ではない」の違い

法律論で「合理的」という言葉が使われる場面は多いですが、同一労働同一賃金においては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差が「不合理ではない」ことが求められています。
この2つの言葉は法律上まったく別もので、合理的は「白」、不合理ではないは「白からグレーまで(黒ではない)」を意味します。
「会社のあるべき姿」を想像して、どのレベルに目標を置くかを決定しましょう。

(続く)

企業実務



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