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公開日:2019年10月23日

従業員満足度を高めつつ 労働時間を削減する施策総まくり 月刊「企業実務」 2019年11月号

坂本直紀(坂本直紀社会保険労務士法人 特定社会保険労務士)


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労働時間が減らない会社の共通点

従業員満足度に結び付く生産性向上策とは

福利厚生の充実で従業員に還元する


働き方改革における長時間労働是正の観点から、労働時間を削減することが企業の重要な課題となっています。
従業員1人ひとりが生産性向上に積極的に取り組み、業務量の削減を行なうとともに、減少した残業手当を従業員に適切に還元させることで、従業員のモチベーションを向上させる仕組みづくりが重要です。
ここでは、それらの取組みを概観します。

労働時間が減らない会社の共通点

残業が必要となる理由

まず、労働時間が減らない理由として、所定外労働いわゆる残業が多いことが考えられます。
図表1は、厚生労働省が行なった調査の結果における「所定外労働が必要となる理由」を示しています。

図表1 所定外労働が必要となる理由

所定外労働が必要となる理由としては、「顧客(消費者)からの不規則な要望に対応する必要があるため」が44.5%で最も多くなっています。
次いで「業務量が多いため」が43.3%、「仕事の繁閑の差が大きいため」が39.6%と続いています。
したがって、所定外労働を減らすためには、「顧客の要望事項への円滑な対応」「業務量の適正化および繁閑差の調整」を図ることが重要な課題といえます。


長時間労働の職場の特徴

図表2は、「一日の労働時間別『上司が抱いている残業をしている人のイメージ(想定)』」の調査結果を示しています。

図表2 一日の労働時間別「上司が抱いている残業をしている人のイメージ(想定)」

「残業をしている人」について、上司がそれぞれどのように捉えているのかを回答したものです。
「頑張っている人」「責任感が強い人」「仕事ができる人」は、10時間未満が最も低い割合である一方、12時間以上が最も高い割合となっていますので、上司は、労働時間が長い人によいイメージを抱いていると感じている傾向があります。
一方で、「仕事が遅い人」「残業代を稼ぎたい人」は、10時間未満が最も割合が高く、12時間以上が最も低い割合となっていますので、上司は、労働時間が短い人ほど、悪いイメージを抱いていると感じている傾向にあります。
こうした労働時間の長さ=上司のポジティブイメージの高さ、労働時間の短さ=上司のネガティブイメージという関係は、長時間労働を助長することにつながりますので、職場内の意識を変えていく必要があります。

図表3は、「残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること」 に対する人事評価の調査結果です。

図表3 「残業や休日出勤をほとんどせず、時間内に仕事を終えて帰宅すること」 に対する人事評価

調査産業計では、「人事評価では考慮されていない」が74.0%、「人事評価でプラスに評価されている」が16.3%、「人事評価でマイナスに評価されている」が6.2%という結果が出ています。
どの業種も人事評価については同様の傾向となっています。
残業や休日出勤が少なければ、残業手当や休日手当の支給額が少なくすみますので、プラスの人事評価をすべきところですが、こうした対応はほとんどとられていないことが実情となっています。
生産性向上により、労働時間短縮に積極的に取り組む従業員について適切に人事評価を行なうことも重要な課題といえます。


長時間労働の是正と労働生産性との関係

図表4は、「所定外労働時間短縮の有無別生産性の評価」に関する調査結果です。

図表4 所定外労働時間短縮の有無別生産性の評価

「労働生産性が高い又はどちらかといえば高い」については、「残業削減の取組の結果、所定外労働時間が変わらない」が21.6%であるのに対して、「残業削減の取組の結果、所定外労働時間が短縮された」が30.2%となっています。
したがって、残業削減の取組みの結果、所定外労働時間が短縮されている企業のほうが、同業他社に比べて労働生産性が「高い又はどちらかといえば高い」と考える割合が相対的に高い状況です。
労働時間の短縮を図ることで、従業員の疲労度が減少するとともに、限られた時間のなかでより効率的な業務の遂行につながる面があるため、こうした結果になっていると考えられます。

    ◇    ◇

労働時間の短縮は企業にとって重要な課題ですが、残業を抑制するには、「顧客の要望事項の円滑な対応」「業務量の適正化および繁閑の調整」等に職場全体で取り組むことが重要になります。
また、遅くまで残業している従業員を高く評価するのではなく、短い労働時間で高い成果を出す従業員を高く評価することに意識を変えていくことも必要です。
その結果、全体の生産性の向上につながり、業績にもよい影響が出てくることが期待できます。

(続く)

企業実務



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