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公開日:2019年8月21日

こんなに変わった! 36協定にまつわる実務と運用 月刊「企業実務」 2019年9月号

濵田京子(エキップ社会保険労務士法人/特定社会保険労務士)


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時間外労働の上限規制に関する改正の概要

36協定届における注意事項

36協定の締結の手続きが厳格化

こんな場合はどうなる?36協定にまつわる疑問


働き方改革に伴って、36協定の規定が大きく変更になりました。大企業はことし4月から、中小企業も来年4月から適用となります。
ここでは、36協定の変更点とそれにまつわる運用上の留意点を解説します。

時間外労働の上限規制に関する改正の概要

ことし4月1日施行で労働基準法が改正されたことにより、時間外労働時間の上限が設定されました。改正前までは36協定で定める時間外労働時間の上限時間は法律上の制限ではなく、告示で示されていただけでしたので、今回の改正により法律へ格上げされたことになります。
これにより、定められた上限時間を超えて時間外労働が発生すると労働基準法違反となり、罰則の適用があります。
具体的に、定められた時間外労働の上限をまとめると、図表1のとおりです。

図表1 改正前と改正後の時間外労働の上限図表1 改正前と改正後の時間外労働の上限

中小企業については、1年間の猶予期間があり、施行日は来年4月1日となります。
今回の改正で上限時間が法的に定められたことのほかに、この上限時間のうち一部に休日労働時間も含めた合計の時間での制限がついている点も大きな変更点です。

具体的には、1か月の上限時間が100時間未満、2〜6か月の平均が80時間以内が上限となりますが、これらの時間は、時間外労働と休日労働の合計の時間です。


(1)法定労働時間と所定労働時間を確認する

ここでいう「時間外労働」とは、法定労働時間を超えた時間外の労働のことをいいます。
通常、会社では法定労働時間とは別に所定労働時間が定められていて、所定労働時間を超えた時間からは残業手当が支給され、いわゆる「残業」として扱われる時間となります。
この会社ごとの「残業」が、法定労働時間を超えた時間である時間外労働時間と一致しないケースがあります。
会社で定める所定労働時間が法定労働時間と同じであれば一致しますが、多くの企業ではあくまでも法定労働時間に収まる時間で所定労働時間を定めているので、所定労働時間を超えているが法定労働時間は超えてないという時間もあり得ます。
その場合、会社で考えている「残業」には法定内の時間外労働と法定を超えた時間外労働が混在していることになります。
今回の時間外労働の上限時間はあくまでも法定労働時間を超えた時間についての上限設定となりますので、この点はよく理解しておきましょう。
また同様に、休日労働時間も法定休日の労働時間であって、会社休日のうち、法定休日ではない休日の労働時間は休日労働時間ではなく、時間外労働時間になります。
会社によっては、法定休日がいつなのかを明確にしていないケースもありますが、休日について法定休日労働なのか時間外労働なのかはっきりさせておく必要があります(図表2)。

図表2 時間外労働と休日労働の定義図表2 時間外労働と休日労働の定義


(2)上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業種とは

今回の法改正で定められた上限規制の適用が猶予・除外される事業や業種があり、概要は次のとおりです。

【自動車運転の業務】
改正法施行後5年後に、上限規制が適用されます。
ただし、適用後の上限時間は年960時間とし、「複数月平均80時間以内、1か月100時間未満、特別条項6回まで」とする規制は適用されません。

【建設事業】
改正法施行後5年後に、上限規制が適用されます。
ただし、災害時における復旧・復興の事業については複数月平均80時間以内・1か月100時間未満とする規制は適用されません。

【医師】
改正法施行後5年後に、上限規制が適用されます。
ただし、具体的な上限時間等は、今後、省令で定められます。

【鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業】
改正法施行後5年後に、上限規制が適用されます。

【新技術・新商品等の研究開発業務】
医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けたうえで、時間外労働の上限規制は適用されません。


(3)いつの36協定から適用されるのか

今回の改正法の施行日は、大企業は2019年4月1日、中小企業は2020年4月1日ですが、実際に改正法が適用される36協定は、施行日以降を起算日とするものからとなります。

たとえば、4月1日から1年間の36協定を締結している大企業の場合は、2019年4月1日を起算日としている36協定から適用されます。一方、3月21日から1年間の36協定を締結している大企業の場合は、2020年3月21日からの適用です(図表3)。

図表3 施行日と起算日との関係図表3 施行日と起算日との関係

36協定は協定の起算日から有効となるためには、事前に労働基準監督署に届出しますが、あくまでも協定届に記載された起算日で判断します。
したがって、たとえば中小企業で毎年4月1日起算で1年間の36協定を締結している場合は、2020年4月1日から改正法が適用されます。実際には3月末までに労基署へ届け出すると思いますが、届出日は関係なく、起算日が重要となります。2020年4月1日以前の起算日であれば、改正法は適用されず、従来の規定が適用されます。


(4)中小企業の定義

「中小企業」の要件は、図表4のとおりです。

図表4 「中小企業」の定義図表4 「中小企業」の定義

資本金および労働者数の条件は「または」となりますので、いずれにも該当しない場合は大企業となります。

(続く)

企業実務



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