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公開日:2019年4月24日

導入まで半年を切り早急に手を付けたい 消費税増税への備え 月刊「企業実務」 2019年5月号

白根裕也(公認会計士・税理士)


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見直しておきたい消費税処理の要点

経過措置にまつわるQ&Aを読む

取引先との交渉に不可欠な転嫁対策の知識


2019年10月1日からの消費税増税に向けて、企業として何を準備しておくべきなのでしょうか。
消費税処理の実務的な確認を行ったうえで、消費税の転嫁対策についても確認します。

見直しておきたい消費税処理の要点

消費税の基本的な仕組み

(1) 消費に対して広く公平に課税
消費税は、医療や教育などの一部を除き、国内で行なわれるほぼすべての物品の販売、サービスの提供等を課税の対象としており、取引の各段階でそれぞれの取引金額に対して課税する方式(多段階課税方式)を採っています。

(2) 消費税は消費者に転嫁
消費税は、税金を実際に負担する者と税金を納める者が異なる「間接税」に分類されるものです。
消費税は、事業者の販売する物品やサービスの価格に上乗せされて、製造業者から卸売業者へ、卸売業者から小売業者へ、小売業者から消費者へと、順次転嫁されていきます。
最終的には、すべて消費者に転嫁され、消費者が物品の購入やサービスの提供を受けることを通じて税金を負担します(図表1)。

図表1 消費税の転嫁の仕組み図表1 損金算入される3つのケース

(3) 税の累積を排除
消費税は、生産、流通の各段階で二重、三重に税が課されることのないよう、売上に対する消費税額から仕入れ等に含まれている消費税額を控除し、税が累積しない仕組み(前段階税額控除方式)になっています。

消費税の課税対象取引

(1) 課税対象の4要件
消費税は、日本国内で行なわれる「消費」という行為に対して課されますが、その課税の対象となるための要件が定められています。次の4つの要件をすべて満たしたものが、課税対象となります。
 1. 国内において行なうもの
 2. 事業者が事業として行なうもの
 3. 対価を得て行なうもの
 4. 資産の譲渡・貸付、役務の提供であること

(2) (国内)取引の分類
前述のとおり、日本国内で行なわれる取引すべてに消費税が課されるわけではないことや、それ以外にも消費税法上の取扱いが異なるものが存在するため、会計処理においては、各取引を図表2のような消費税の課税区分に分類する必要があります。

図表2 消費税の課税区分図表2 消費税の課税区分

小規模事業者に対する配慮

(1) 納税義務の免除
小規模事業者の納税事務負担に対する配慮の観点から、基準期間における課税売上高(前々事業年度の消費税がかかる売上高)が1000万円以下の(一定の要件を満たす)事業者は、消費税の納税義務が免除されます。この納税義務が免除される事業者を「免税事業者」といいます。

(2) 簡易課税制度
同様に小規模事業者への配慮から、基準期間における課税売上高が5000万円以下の事業者は、選択により、仕入控除税額を簡易な方式により計算することができます。
具体的には、売上高に一定の割合(みなし仕入率)を掛けることにより、仕入控除税額を簡単に計算できます。この制度を「簡易課税制度」といいます(図表3)。

図表3 簡易課税制度の仕組み図表3 簡易課税制度の仕組み

2019年10月からの消費税法の改正

(1) 消費税率引上げ
2019年10月から、消費税率は8%(国税6.3%+地方税1.7%)から10%(国税7.8%+地方税2.2%)に引き上げられます。
当初は2015年10月に税率が引き上げられる予定だったものが、18か月(2017年4月)延期され、その後さらに30か月(2019年10月)延期されて今回に至っています。
消費税率の引上げに当たっては、各種経過措置が用意されています。その詳細は、次章で確認します。

(2) 軽減税率
消費税率の引上げに伴い、低所得者に配慮する観点から、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に消費税率8%が適用される軽減税率制度が実施されることになりました(図表4)。

図表4 軽減税率制度の対象品目図表4 軽減税率制度の対象品目

飲食料品については、外食は除かれるものの持ち帰りは軽減税率対象であるため、販売時点での判断が難しく、実務上の混乱が予想されます。

(3) 帳簿・請求書等の記載と保存
現行制度においては、課税事業者は、原則として帳簿および請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされています。これを「請求書等保存方式」といいます。
2023年10月1日以降は、仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が実施されることが予定されています。これは、適格請求書発行事業者として登録した者からの課税仕入れしか、仕入税額控除を認めない方式です。
免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できないため、相手先が仕入税額控除を受けることができなくなり、取引から排除されてしまうおそれがあります。そのため、経済に与える影響の大きさを考慮して、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについては、段階的に割合を小さくすることが予定されています。
なお、インボイス制度が実施されるまでの準備期間として、2019年10月1日以降は、保存している帳簿および請求書等に、区分経理に対応するための記載事項が追加されます。これを「区分記載請求書等保存方式」といいます(図表5)。

図表5 区分記載請求書の例図表5 軽区分記載請求書の例

この期間は、免税事業者からの課税仕入れであっても、現行の請求書等保存方式と同様に仕入税額控除が認められます。

(続く)

企業実務



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