NJ Publishing Sales - NJ Business Online

経理・税務 | エヌ・ジェイ出版販売株式会社


【お知らせ】 実践「経営実学大全」 好評発売中です

Home経理・税務企業実務・特別記事 ≫ 業務を非効率化する「ボトルネック」を洗い出せ!...
公開日:2018年11月22日

業務を非効率化する「ボトルネック」を洗い出せ! 月刊「企業実務」 2018年12月号

田中良憲(株式会社日本能率協会コンサルティング 経営コンサルティング事業本部 働き方改革センター センター長 チーフ・コンサルタント)


このエントリーをはてなブックマークに追加  

何が効率を妨げるのか仮説を立てて検証せよ

経理業務のボトルネックを抽出する

総務業務のボトルネックを抽出する

ボトルネック解消策としてのAI


社員を業務量に比して適正に配置できていなかったり、必要な設備投資を行なっていないがゆえに無駄なプロセスが存在していたり、社内には業務を非効率化する「ボトルネック」が点在しています。業務効率化を進めるうえで第一に行なうべきは「ボトルネック」の特定です。
どのように自社の問題点に切り込み、最小の経営資源で最大の成果を挙げるかについて検証します。

何が効率を妨げるのか仮説を立てて検証せよ

働き方改革の目的の1つは「生産性向上」といわれています。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社の調査『働き方改革の実態調査2017~ Future ofWork を見据えて~』によると、働き方改革を進めている企業のうち、9割弱がこの「生産性向上」を目的として働き方改革に取り組んでいるとのことです。
日本企業は「働き方改革」というコンセプトが世の中に出回る以前から、効率化・生産性向上活動には取り組んできています。それにもかかわらず、「働き方改革」という流れにのって改めて「効率化」「生産性向上」を活動目的としているのはなぜでしょうか。
結局のところ、過去の効率化活動がうまくいかずに思った成果を得ることができなかったのでしょう。そうした反省のもと、各社、改めて生産性向上活動にトライアルしているのだと考えられます。
先のアンケートによると、「働き方改革」への取組みについては、28%の企業が成果を感じているとしています。残り72%はそこまで行き着いていない、ということです。では、効率化活動がうまくいっていないと認識されるのはなにゆえなのでしょう。
それは、時間やコストの面で、目に見える成果が現われていないからだと認識しています。
効率化活動は、「効率化」という問題解決・課題解決活動といえます。課題解決活動のポイントは、そもそも「課題とは何か」を定義し、定義に沿った課題を見える化することです。そのうえで、その課題を解決していくのが一連の流れです。
そうした観点で考えると、ホワイトカラー職場での効率化活動がうまくいかない原因は、職場の課題をしっかり押さえていない状態で課題を無理やり解決しようとしてしまっていることにほかならないでしょう。

職場別の課題設定の3つのポイント

課題設定のポイントは、各職場の仕事の進め方の特性を知り、それらの業務の効率を阻害するボトルネックとなっているムダを発見することです。
当協会では「ムダは3つある」とし、それらを「MPUロス」と定義しています。MPUロスは、もともと生産現場で用いられるムダの考え方ですが、オフィスワークでもそっくり当てはまります。具体的には次の3つのことを指します。

(1)方法ロス(Method Loss)仕事の手順、やり方のまずさによる非効率さ

(2)バラツキロス(Performance Loss)人の能力ややる気による仕事の出来高・質のバラツキ

(3)人資源活用ロス(Utilization Loss)人の時間をうまく活用できていないことによる出来高・質の機会損失

(1)方法ロス「方法ロス」は、たとえば「情報システムの不具合」「業務フローの不具合」「帳票類の不具合」といった業務を遂行するなかで発生する不具合のことを指します。
一般的に「仕事の効率化」「業務の改善」というと、この方法ロスを削減する活動を指すことが多いかと思われます。
この方法ロス削減のため、業務フローを作成することで仕事を見える化してムダを省いたり、繰り返し性の高い定例業務について情報システム構築を検討するなど、様々な取組みを行なってきていることと認識しています。
ただし、職場で発生するムダは、方法ロスだけではありません。 (2)バラツキロス「バラツキロス」とは、個人の仕事を進める能力や、やる気によって生じる出来高の差異のことです。ベテラン社員と新人が同じ業務を行なえば、その出来高に大きな差が生まれるのは当然です。
人の経験・知見を頼りにして仕事を進めている職場では、このロスは相応に大きいといってよいでしょう。 (3)人資源活用ロス「人資源活用ロス」の人資源とは人が投入される時間のことです。この投入時間のことを一般的に「人時(Man Hour)」といいます。1人の人間が1時間働く分の仕事量を表わすもので、たとえば、1人が8時間働ければ「8人時」、2人が10時間働ければ「20人時」となります。
この投入される人時に対して仕事を上手く割り当てていない、その結果、人の能力が遊んでしまう状態、これを人資源活用ロスといいます。
これら3つのロスについて、具体的に職場でよく発生する現象としては、図表1のものを挙げることができます。

図表1 MPUロスの例図表1 MPUロスの例

自社で生じているロスを認識するには

バラツキロスと人資源活用ロスとをあわせて「マネジメントロス」と呼びます。職場マネジメント・業務マネジメントが活性化していない、取組みがあまい組織は、このマネジメントロスが3割から、酷いところだと5割以上になることもあります。一方でこれらのマネジメントがきちんとなされている職場では、ロスが2割程度に抑えられています。
うまく仕事の負荷が職場内で分散できていなかったり、あるいは、手戻りの発生を認識していなかったりする職場は少なくありません。図表2のチェックシートを使って自社の状況をチェックしてみましょう。

図表2 マネジメントロスのチェックシート図表2 マネジメントロスのチェックシート

3つ以上チェックがついたら、職場にはバラツキロス、人資源活用ロスが相応に発生しており、それらが効率を妨げている大きな要因となっていると見込まれます。その場合、特定したボトルネックについて仮説を立てたうえで、効率化に向けて施策を講じる必要があります。
職場の改善はこの3つのロスの課題認識が第一です。それぞれ、ロス・ムダの減らし方が異なるからです。
生産性向上・効率化活動は、一般的には方法ロスの低減、ムダ取りを中心に行なっています。しかしながら、このムダ取りだけでは、オフィスワーク職場において時間的・コスト的な効果はなかなか現われません。このロスをバランスよく低減していく必要があるのです。

(続く)

企業実務



このエントリーをはてなブックマークに追加  



PAGE TOP