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公開日:2018年10月19日

実施まで1年を切ったいま取り組むべき「消費税率引上げ」への準備 月刊「企業実務」 2018年11月号

石田寿行(税理士)


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消費税率引上げのスケジュールと準備

軽減税率の詳細と導入への対応について

税率改定前後に生じる取引の正しい経理処理


消費税率の引上げと軽減税率の導入まで1年を切った。
そこで、改正のスケジュールと、いまのうちから進めておきたい準備のポイントについて確認する。
※本記事は2018年10月1日現在の情報に基づいています

平成31(2019)年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられ、それと同時に軽減税率制度が実施されます。

消費税率の引上げについては、平成24年8月10日に、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」が国会で可決されました。そこで平成26年4月1日以降は税率8%(消費税6.3%、地方消費税1.7%)、平成27年10月1日以降は10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)に2段階で引き上げられることが決定されました。

平成26年4月1日からの8%への引上げは実施されましたが、平成27年10月1日からの10%への引上げは、衆議院解散時の平成26年11月18日、平成29年4月1日までいったん延期されました。
その後、平成28年11月18日に平成31年10月1日までさらに2年半延期されることに変更した「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」が、国会において成立しました。

そこで、消費税率の10%への引上げと軽減税率の導入まで1年を切ったいまだからこそ、準備すべきポイントを確認していきます。

消費税率引上げのスケジュールと準備


平成31年10月1日より消費税率が8%から10%へ引き上げられると同時に、軽減税率が導入されます。ここで注意点ですが、平成31年9月30日までに適用される税率8%と、平成31年10月1日以後適用になる軽減税率の8%では合計の税率は同じですが、内訳は異なります。

現行の税率は、8%(国の消費税率6.3%、地方消費税率1.7%)ですが、税率引上げ以後の軽減税率は8%(国の消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)となります。

税率引上げ後の内訳は、図表1のようになります。


図表1 税率の内訳

軽減税率の導入にあたっては、従業員の教育・研修等が必要になります。
たとえば自社の販売商品や仕入商品について、標準税率が適用されるものと、軽減税率が適用されるものを認識できるようにして、顧客からの問い合わせ等に対応できるようにする必要があります。
また、納品書や請求書等の帳票をどのように改修し、会計システム等への入力をどのように行なうかなど、影響が生じるであろう事務の洗い出しや業務内容の見直し、システムの改修といった作業が必要になります。
取扱商品が多い場合は、商品ごとの適用税率を登録する作業や価格戦略の見直しを検討する余地も生じます。

軽減税率の導入に伴う複数税率に対応した仕入税額控除として、「適格請求書等保存方式」(いわゆるインボイス方式)が平成35年10月1日から導入されます(図表2)。


図表2 消費税率引上げとインボイス導入のスケジュール

適格請求書等保存方式は、登録を受けた課税事業者が交付する適格請求書(いわゆるインボイス)と、帳簿の保存が仕入税額控除の要件とされる制度です。

この登録を受けた課税事業者を「適格請求書発行事業者」といい、免税事業者は登録を受けることはできず、所轄税務署長に申請書を提出し、適格請求書を交付することができる事業者として登録を受ける手続きが必要となります。この登録申請は平成33年10月1日からできます。
このインボイス方式が導入されると実務面において混乱が生じる可能性があるため、準備期間を設け、平成31年10月1日から平成35年9月30日までの4年間の仕入税額控除制度として「区分記載請求書等保存方式」によるものとされています。

区分記載請求書等保存方式とは、現行の「請求書等保存方式」を維持しつつ、区分経理に対応するためのものであり、仕入税額控除の適用を受けるために保存しなければならない請求書等の記載事項が変更となります。

以下、具体的に記載していきます。

現行の請求書等保存方式では、仕入税額控除の要件として、課税仕入等に関して所定の事項が記載された帳簿及び請求書等の両方を保存していることが要件とされています。
また、帳簿の記載事項、請求書等の記載事項は以下のとおりとなっています。

(1) 帳簿の記載事項
・課税仕入れの相手方の氏名または名称
・課税仕入れを行なった年月日
・課税仕入れに係る資産または役務の内容
・課税仕入れに係る支払対価の額

(2) 請求書等の記載事項
・請求書発行者の氏名または名称
・取引年月日(課税資産の譲渡等を行なった年月日)
・取引の内容(課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容)
・対価の額(課税資産の譲渡等の対価の額)
・請求書受領者の氏名または名称

区分請求書等保存方式では(1)の帳簿に記載すべき事項として、「軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨」のみを追加し、(2)の請求書等に記載すべき事項として「軽減税率対象品目である旨」と「税率の異なるごとに合計した対価の額」の2項目を追加する必要があります。

適格請求書等保存方式では、区分請求書等保存方式での記載事項に加え、請求書等に記載すべき事項として「適格請求書発行事業者の登録番号」と「消費税額及び地方消費税額の合計額」を記載する必要があります。

(続く)

企業実務



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