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公開日:2015年11月27日

“景気回復基調”には落とし穴あり 「倒産リスク」への備えを図れ 月刊「企業実務」 2015年12月号

内藤修(帝国データバンク東京支社情報部)


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【 最近の倒産事例にみる「想定外」の事情 】とは

【 自社の「アキレス腱」と強みは何かをチェックする 】

【 事業断続のために使える制度を確認しておこう 】


倒産件数が減少するなど経済指標のうえでは「好況期」と言われていますが、人材難、資材価格の高騰など様々な経営リスクも予想されるところ。
事業承継のために確認しておきたいリスクと対策について考えます。

最近の倒産事例にみる「想定外」の事情 とは


企業倒産は、長らく減少基調が続いています。2015年度上半期(4~9月)の倒産件数は4,217件にとどまり、前年同期の4,750件に比べて11.2%の減少。年度半期別としては、2008年9月のリーマン・ショック以降最少を記録しました(帝国データバンク調べ、以下同じ)。

大型倒産の減少から負債総額も8,485億8,700万円にとどまり、前年同期の9,144億7,200万円に比べて7.2%下回っています。この結果、近年ピークとなるリーマン・ショックが発生した2008年度上半期(8兆4,533億1,800万円)に比べて約10分の1の規模まで縮小しました。足元の倒産発生状況をみても、全業種、全地域で前年同期を下回っています。

倒産減少の大きな要因は、なんといっても2009年12月施行の中小企業金融円滑化法(2013年3月末に終了)の効果といえます。法律自体は2年以上前に終了しましたが、いまだ金融機関による返済猶予・減額(リスケ)支援は継続しています。このため、業績低迷に苦しみながらも多くの中小企業は資金ショートを回避できており、倒産が表面化しない状態が続いているのです。


経営破綻を招きかねない2つの「想定外」


このように企業倒産は低水準で推移する一方で、「想定外」の事象の影響を受けて経営破綻に追い込まれる企業は後を絶ちません。

今年最大の大型倒産(本稿執筆の11月3日時点)となった、東証1部上場の第一中央汽船(東京都中央区、負債1,196億800万円、9月29日民事再生法申請)はそうした1社です。

同社の業歴は、前身企業から数えて120年以上にのぼります。外航不定期航路事業では大手に位置づけられ、ピーク時の2008年3月期には年収入高1,666億2,700万円を計上。

しかし以降は、リーマン・ショック後の受注減少、燃料費の高騰、円高の影響などで経営状態が急速に悪化していきます。2010年3月期の年収入高は1,007億7,100万円に落ち込むなか、過年度の積極的な設備投資が裏目となり、多額の赤字計上を余儀なくされます。この間、筆頭株主の商船三井などの支援を得て経営再建を進めていましたが、海運市況の急速な悪化に耐え切れず、民事再生法を申請しました。

同社が経営破綻に至る過程では、2つの「想定外」がありました。

1つは、起死回生の再建策として水面下で検討していた、同業他社とのM&Aの失敗です。 同社は住友金属工業と長く取引関係にあり、2012年に新日本製鐵と住友金属工業が経営統合し、現在の新日鐵住金が誕生したことで、同じグループ内の海運会社との統合の可能性が注目されていました。しかし、鉄鋼減産による輸送需要の減少や市況悪化も重なり、最終的に統合案は見送られたようです。

もう1つの「想定外」は、いわゆるチャイナ・ショックです。

ことし夏頃を境に中国経済の減速感が強まったうえ、8月には上海株式市場に端を発する世界同時株安が発生。

これらの影響で、同社が主力とする外航不定期航路事業の市況悪化に拍車がかかるなど、外部環境の好転も見込めないなか、自力での経営再建を断念しました。

(続く)

企業実務



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