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公開日:2015年10月22日

“負のスパイラル”に陥らないために いま取り組むべき「長時間労働」縮減対策 月刊「企業実務」 2015年11月号

長沢有紀(特定社会保険労務士)


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景気は回復しつつあるものの、企業を取り巻く環境は依然として厳しく、いったん「長時間労働」が慢性化すれば、社員の休職・退職→人手不足→さらなる労働強化という“負のスパイラル”に陥りかねない。
働き方や教務を見直し、労働時間を適正化する方策について考える。

長時間労働の抑制を促す


平成27年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」といいます)が閣議決定されました。これは、平成26年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」(以下、「推進法」といいます)の基本的な考え方を踏まえたものです。

では、そもそも推進法とは、どのような法律なのでしょうか。

過労死は、1980年代後半から社会的に大きく注目され始め、近年においても、劣悪な雇用管理を行なう企業の存在と対策の必要性が指摘されています。

当初は、長時間労働と脳・心臓疾患や自殺の関連性が必ずしも明らかではありませんでしたが、現在では、長時間労働は疲労の蓄積をもたらす、もっとも重要な要因であり、脳・心臓疾患や業務における心理的負荷による精神障害により、自殺に至る場合があると考えられています。

推進法には、このような認識のもと、法律上初めて「過労死」について、図表1のように定義されました。

図表1 推進法に定められた「過労死とは」
そして、過労死等に関する調査を明らかにし、過労死等の効果的な防止のための取組みに生かせるようにすることを定めています。

これをまとめたものが、今回の大綱になります。


大綱が定めた4つの基本的な対策


それでは、具体的な大綱の中身を見ていきましょう。

大綱では、次の4つの対策を基軸に、今後、おおむね3年間での取組みについて定めています。

(1)調査研究等
(2)啓発
(3)相談体制の整備等
(4)民間団体の活動に対する支援

まず、労働時間やメンタルヘルス対策、自殺、脳・心臓疾患および精神障害などの現状から、以下のような課題を挙げています。

・若年層を対象とする教育活動による啓発
・長時間労働する労働者に着目した労働時間の短縮
・年次有給休暇の取得促進
・メンタルヘルス対策として、労働者が相談しやすい環境の整備

そして、これらの課題に対する目標として、次の目標を早期に達成し、将来的に過労死等をゼロとすることを目指しています。

【平成32年までに】
・週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下
・年次有給休暇取得率を70%以上

【平成29年までに】
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上

目標達成には、各事業所での取組みが重要ですから、今後、事業主へも対策が求められていくことが考えられます。

(続く)

企業実務



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