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公開日:2015年3月23日

“地方創生”に向けて加速 「地域金融機関の大再編」に企業はどう備えるか 月刊「企業実務」 2015年4月号

家森信善(神戸大学経済経営研究所教授)


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安倍政権が“地方創生”に力を入れていることもあり、地域金融機関の大規模な再編が予想されています。
本稿では、地域金融機関の再編の現状と今後の中小企業への影響、求められる準備や対策などをみていきます。


地域金融機関の再編の現状と今後の行方


地方と都市の経済的格差が広がる

2014年11月に、安倍政権が推し進める地方創生戦略の要となる「まち・ひと・しごと創生法」が成立しました。この法律は、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正することが目的です。

なぜ、自然豊かな地方圏からわざわざ混雑に苦しむ都市圏に人口が移動するのかというと、経済的にみて都市部に高賃金の仕事が多いからです。

たとえば、厚生労働省の統計によると、東京都と神奈川県では求人平均賃金(月給、常用フルタイム、2013年度)が、24万円超でした。埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府が22万円超のグループを形成しています(全国平均は21万3000円)。

このように、都市圏での賃金が高い一方で、東北と九州の6県では18万円未満となっており、地方と都市圏の間では大きな賃金格差が存在します。その結果、高賃金の仕事を求めて多くの人が都市圏に移動するのです。

実は、この地方と都市圏の賃金格差は、かなりの程度、大企業と中小企業の賃金格差を反映しています。

たとえば、政府のまち・ひと・しごと創生本部「基本政策検討チーム」(2014年10月)に経済産業省から提出された資料では、都道府県ごとの企業規模別の従業者割合がまとめられています。全国でみると、大企業の従業者が30.3%、中規模事業者が43.9%、小規模事業者が25.8%となっています。

ところが、東京都に限ると、大企業の従業者が58.9%、中規模事業者が30.1%であり、小規模事業者はわずか11.0%に過ぎません。一方で、12の県では、大企業の従業者が10%以下でした。

つまり、地方圏では中小企業で働いている人が多く、その中小企業の賃金が大企業に比べて低いことが、地方と都市の賃金格差の形で現われているのです。

そうなると、地方創生の成否を握るのは、高い賃金を支払える中小企業を増やすことだと言い換えてもよいでしょう。そのため政府は、いままで以上に中小企業への支援姿勢を強めています。

ただし、政府の意向は、あくまでも企業の生産性と収益性を向上させて、高い賃金を支払えるように支援することが主眼です。弱い企業をそのまま存続させることは低賃金の仕事を残すことになり、政策目的に合致しません。したがって政府は、問題を先送りするような救済型の政策はとらないと考えるべきです。

(続く)

企業実務



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