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公開日:2014年8月21日

地銀再編、金利上昇への対応など 銀行取引・資金繰り対策で急がれる“この一手、次の一手” 月刊「企業実務」 2014年9月号

上田真一(銀行取引コンサルタント)


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このところ、地域金融機関を中心に再編圧力が強まっています。また、景気回復が本格化すれば、金利や物価が上昇する可能性も高まります。
中小企業を取り巻く経営環境が大きく変わるなか、今後の銀行取引と資金繰り戦略を探ります。


地銀(取引銀行)の再編に備えて打つべき手

地方の人口減少、オーバーバンキング下での銀行間の過当競争激化、ゆうちょ銀行上場後の法人融資への参入と、地方銀行を取り巻く経営環境にはきびしいものがあります。
そんななか、金融庁は地銀のさらなる再編を推し進めていきたいとの意思表示をしています。地銀の再編は、中小企業の資金調達にも少なからぬ影響を与えます。
ここでは、地銀の再編に備えて、中小企業が打つべき手を考えていきます。

取引銀行の再編前後の融資姿勢の変化を予測する

(1)預貸率の変化から融資姿勢を予測する

銀行経営上の重要な指標の1つとして、預貸率が挙げられます。この預貸率は、次の算式で簡単に求められます。

預貸率(%)=融資量÷預金量×100

預貸率は、地銀の場合、地元で集めた資金を地元にどのくらい還元できているかという地域貢献度を測る目安といえます。

さらに、銀行が集めた預金をどの程度貸出にまわしているかが明瞭にわかります。逆にいえば、まだ貸せていない預金が多ければ、貸出余力が高いと考えられます。

たとえば、預貸率70%の銀行があった場合、残り30%の預金は、貸出にまわせる余力があるということです。

筆者は、預貸率からみた銀行の貸出余力を3段階で評価できると考えています。

  • 70%未満……積極的な貸出姿勢(隣県等に新規出店している銀行などが該当)
  • 70%以上80%未満……通常の貸出姿勢(適度な水準)
  • 80%以上……やや消極的な貸出姿勢になりやすい(預金流出により破綻の可能性が高まる)

それでは、ここで再編前後の預貸率についてみていきましょう(図表1図表2)。

図表1 ある地域の再編前の預貸率の例/図表2 再編後の預貸率の例
たとえば、ある企業がA銀行とD銀行と取引していたとします。A銀行は再編と関係ありませんから、預貸率は変わりなく75%のままです。したがって、自社に業績等の問題がない限り、A銀行から通常どおり借入できるでしょう。

また、D銀行はB銀行と統合・合併したため、預貸率が85.0%から70.3%へと下がっています。

再編前のD銀行は預貸率が85%と高く、貸出姿勢はあまり積極的でなかったと推察されます。しかし、統合・合併して預貸率が70%台に下がったことで、貸出余力が生まれ、積極姿勢に転換していくと考えられます。

つまり、この企業はD銀行が統合・合併したことによって、借入しやすい環境になったといえるでしょう。

(続く)

企業実務



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