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公開日:2014年4月24日

景気回復期こそ危ない 得意先倒産に備える「危機対応」の着眼点はココだ! 月刊「企業実務」 2014年5月号

内藤修(株式会社帝国データバンク 東京支社情報部)


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内閣府の月例経済報告でも景気の回復基調が示され、経営環境の厳しさは一時より緩んだ感がある。ただし景気回復期のほうが企業倒産は増えがちでもある。

いま得意先倒産への備えをどう固めるかを考える。


企業倒産の状況と今後の動向予測

企業倒産の発生は“まだら模様”

現在の企業倒産の状況を表現すれば、「減少基調が続いている」となる。昨年1年間の全国全業種における倒産件数は1万332件にとどまり、前年比で7.2%の減少だった。4年連続で前年を下回り、リーマン・ショック後では最少の水準だ(図表1)。

図表1 企業倒産件数 年別推移
倒産減少の背景は、大きく次の2つが影響したものとみられる。

  1. 昨年3月末の中小企業金融円滑化法終了後も金融機関の支援が続き、経営不振企業の資金ショートを抑制したこと
  2. 公共工事の増加や消費税率引上げ前の駆け込み需要等により、建設業の倒産が大幅に減少していること

ただし、全国全業種が一律で減少しているわけではない。そのキーワードは“まだら模様”。倒産が増えている業種・地域、減っている業種・地域がそれぞれ混在しているのだ。

業種別にみると、「建設」「不動産」が大きく減少する一方で、「食品」「繊維・アパレル」「トラック運送」では高水準が続いている。

地域別では、「北海道」が大きく減少する一方で、「中部」が増加。地域経済の疲弊が続く北海道で倒産が減り、復調著しい自動車産業を抱える中部の倒産が逆に増えている状況に、違和感を覚える方がいるかもしれない。

この対照的な結果をもたらした要因が、「公共工事」の発注量の差とみられる。

安倍政権が推し進める“国土強靭化”の下で、公共事業が急拡大。その恩恵を受ける形で建設と不動産の両業界で倒産が減少し、なかでも公共事業への依存度が高い北海道で倒産抑制効果が最も顕著に表われた格好だ。

全体の倒産が減少するなかで、高水準が続く食品、繊維・アパレル、トラック運送などの業種に共通するのは、円安と原燃料高の2つの要因だ。

原材料を主に輸入に頼る企業は収益悪化に苦しんでおり、倒産に追い込まれるケースが出てきているということだ。

景気回復局面では過剰投資が増えがち

アベノミクスによる景気回復効果もあり、足元では倒産が減少してはいるものの、先行きを楽観はできない。
現状の倒産減少の大きな要因である公共工事発注量の高止まりが、いつまでも続く保証はないからだ。

海外からの財政健全化圧力の高まりを受け、現在の“異例の”財政出動が早晩終わりを迎える可能性は捨てきれない。
仮にそうなれば、公共事業の減少を通じて建設業の倒産が増え、全体の倒産件数も反転増に向かうリスクシナリオは想定しておくべきだろう。

また、過去の経験則からも「景気回復局面で倒産は増加する」という事実は指摘しておきたい。倒産件数が戦後最多の2万件超えとなった1984年は、1983年頃まで続いた第二次オイルショック後の長期不況を終え、1991年まで続くバブル景気に向かう、ちょうど端境期にあった。

(続く)

企業実務



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