N.J. HIGH-TEC - NJ Business Online

経理・税務 | エヌ・ジェイ出版販売株式会社


【お知らせ】 実践「経営実学大全」 好評発売中です

Home経理・税務企業実務・特別記事 ≫ 年度末・年度始めが特に危ない 会社を蝕む「社内不正」いかに芽を摘み、対処するか...
公開日:2012年3月30日

年度末・年度始めが特に危ない 会社を蝕む「社内不正」いかに芽を摘み、対処するか 月刊「企業実務」 2012年4月号

水川聡(弁護士)/清野訟一(弁護士)


このエントリーをはてなブックマークに追加  

社内不正が起こりやすくなる要因として、不正を起こす個人の資質だけでなく、経営層の認識不足や社内の管理体制の不備などがあることは見逃せない。社内不正の防止法と、起こってしまったときの対応を解説する。


不正が起きる要因を徹底分析する

昨年、大王製紙事件、オリンパス事件といった大企業における不正が立て続けに明るみになりました。不正はそうした大企業だけではなく、どの規模の企業でも発生し得るものです。

たとえば、大王製紙事件の不正の発生原因はオーナー経営の弊害ともいえるものであり、中小企業のほうが顕在化・先鋭化しやすい問題であるといえます。

企業で発生し得る不正の種類も、粉飾決算や横領といったものから、個人情報の漏洩や食品表示の偽装、反社会的勢力との関係、贈賄など、様々なものが想定されます。

一度不正が発生すれば、取引先や金融機関、ひいては社会全体の信用を失い、会社に危機をもたらすことになります。

たとえば、船場吉兆は食品に関する偽装が問題となり、浅田農産は鳥インフルエンザの感染の疑いを当局に届け出ることなく製品を出荷していたことが発覚し、廃業に至っています。
スルガコーポレーションは反社会的勢力とのつながりの発覚により、資金調達が困難になり倒産しました。

不正の発生で被るダメージは甚大であり、回復は困難です。そうするとまず予防を考えることになりますが、一口に不正といっても、企業ごとに発生のリスクは異なります。

まずは不正が発生する基本的なメカニズムを理解したうえで、各社ごとの具体的な不正リスクを分析していく必要があります。

認識しておきたい不正のトライアングル

不正の起きるメカニズムを分析する理論としてよく知られているものとして、米国の犯罪学者であるドナルド・クレッシー(DonaldR.Cressey)が提唱した「不正のトライアングル」があります。

■不正のトライアングル

この理論によると、不正は、(1)「動機」(不正を行なうことを志向する事情)、(2)「機会」(不正を行なうことが可能な環境)、(3)「正当化」(不正を行なっても許容されるとの思考)という、3つの要因(不正のトライアングル)がすべてそろったときに発生するとされています。

「動機」には、個人的な金銭問題、会社への不満、地位向上への欲望、個人的な失敗等、様々なものが考えられます。

「機会」には、不正を行なうことができる地位や役職にあること、社内管理体制の不備が存在すること等が挙げられます。

たとえば、特定の経理担当者のみが経理業務を担当していれば、この経理担当者は横領を行ないやすいといえます。

つまり、不適切な職務分掌、機能していないモニタリング、円滑なコミュニケーションの欠如といったことが、不正を行なう者に対して「機会」を提供することになるのです。

「正当化」とは、不正を行なってもそれが許されるという何らかの理由をつけられるということを意味します。

たとえば、経理担当者が横領を行なう場合、この経理担当者が、「来月の給料をもらえばすぐに返せるのだから、会社のお金を一時的に使用したとしても迷惑をかけることはない」などと考えると、横領という不正を行なう際の心理的なハードルを超えることが可能になるかもしれません。

(続く)

企業実務



このエントリーをはてなブックマークに追加  



PAGE TOP