N.J. HIGH-TEC - NJ Business Online

経理・税務 | エヌ・ジェイ出版販売株式会社


【お知らせ】 実践「経営実学大全」 好評発売中です

Home経理・税務企業実務・特別記事 ≫ 社会保険の適応拡大に向け中小企業が準備しておくこと...
公開日:2021年6月25日

社会保険の適応拡大に向け中小企業が準備しておくこと 月刊「企業実務」 2021年7月号

安田 大(あすか会計事務所/税理士・社会保険労務士)


このエントリーをはてなブックマークに追加  

現在の社会保険の被保険者を確認する

社会保険の適用拡大と中小企業が準備しておくこと

社会保険加入のメリット・デメリット


短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大されます。
現行は501人以上の企業に適用されていますが、2022年10月からは101人以上の企業に、2024年10月からは51人以上の企業に適用が拡大されます。
中小企業が行なうべき準備や必要事項について確認します。


現在の社会保険の被保険者を確認する

まずは、現在の社会保険の被保険者について確認しましょう。
現在の社会保険の被保険者は、「適用事業所に常用的に使用される者で適用除外に該当しない人」です。常用的に使用される者として被保険者になるのは、(1)常時雇用者(フルタイム従業員)と、(2)短時間就労者(パートタイマー)です(図表1)。

図表1 適用事業所の被保険者図表1 適用事業所の被保険者

また、「特定適用事業所等」(後述)に使用される「短時間労働者」も被保険者です(図表2)。

図表2 特定適用事業所等に雇用される短時間労働者図表2 特定適用事業所等に雇用される短時間労働者

適用事業所とは

適用事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所があり、強制適用事業所は、(1)すべての法人の事業所と、(2)常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所で法定16業種に該当するものです(図表3)。

図表3 法定16業種図表3 法定16業種

常時5人未満の従業員を使用する個人の事業所、常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所であっても法定16業種以外は強制適用ではありませんが、被保険者となる人の半数以上の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けることによって、任意適用事業所となることができます(図表4)。

図表4 強制適用事業所と任意適用事業所図表4 強制適用事業所と任意適用事業所

常用的に使用される者とは

常用的に使用される者には、通常の正社員はもとより、代表取締役その他の常勤役員、契約社員や嘱託社員なども含まれます。
パートタイマー等については、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常時雇用者(フルタイム従業員)の4分の3以上ある場合に、常用的に使用される人(短時間就労者)に該当し、被保険者とされます。


被保険者とならない適用除外

適用事業所に使用される者でも、以下に該当する人は被保険者になりません。
(1) 日々雇い入れられる人(ただし、引き続き1か月を超えて使用される人は、その日から被保険者となる)
(2) 2か月以内の期間を定めて使用される人(ただし、2か月以内の所定の期間を超えて引き続き使用される人は、その日から被保険者となる)
(3) 4か月以内の季節的業務に使用される人
(4) 6か月以内の臨時的事業の事業所に使用される人
また、75歳以上の高齢者(65歳以上75歳未満で一定の障害があると認定された人を含む)は、後期高齢者医療制度の被保険者となるため健康保険の被保険者にはなりませんし、70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者になりません。


特定適用事業所とは

特定適用事業所とは、被保険者数(適用拡大前の基準で適用対象となる被保険者数で判定)の合計が常時500人を超える事業所をいいます。常時500人を超える事業所とは、直近12か月のうち6か月で基準(500人)を上回った事業所が該当します(図表5)。

図表5 常時500人を超える事業所図表5 常時500人を超える事業所

2016年10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者が、新たに被保険者となりました。短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者(フルタイム従業員)の4分の3未満で、次の(1)~(4)のすべてに該当する人です。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上であること
(2) 賃金の月額が8万8,000円以上であること
(3) 雇用期間が1年以上見込まれること
(4) 学生ではないこと


常時500人以下の事業所

2017年4月1日から、被保険者数の合計が常時500人以下の事業所のうち、労使合意に基づいて申出をした法人・個人の事業所、地方公共団体に属する事業所(任意特定適用事業所)に勤務する短時間労働者も被保険者となりました。
任意特定適用事業所の申出に係る労使合意とは、(1)適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者および短時間労働者(同意対象者)の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合の同意、(2)過半数で組織する労働組合がない場合には、同意対象者の過半数を代表する者の同意か同意対象者の2分の1以上の同意をさします。


特定適用事業所の不該当

すでに該当している特定適用事業所の被保険者数(短時間労働者除く)が常時500人を超えなくなっても、引き続き特定適用事業所とみなすこととされています。
ただし、特定適用事業所の事業主は、労使合意に基づいて、特定適用事業所の不該当の届出をすることができます。
また、任意特定適用事業所についても、労使合意に基づいて、任意特定適用事業所の取消しの申出をすることができます。
これらの労使合意については、(1)同意対象者の4分の3以上で組織する労働組合がある場合には、労働組合の同意、(2)4分の3以上で組織する労働組合がない場合には、同意対象者の4分の3を代表する者の同意か同意対象者の4分の3以上の同意となります。
なお、不該当となった場合には、被保険者資格が適用されている短時間労働者について、短時間労働者に係る被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

(続く)

企業実務



このエントリーをはてなブックマークに追加  



PAGE TOP