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公開日:2021年3月22日

テレワークでの働き方に連動した「賃金制度」を考える 月刊「企業実務」 2021年4月号

神田 靖美(リザルト株式会社/賃金コンサルタント)


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新しい生活様式に対応した働き方とは

テレワークに連動した手当と賃金を考える

より成果に直結した賃金制度を考える


テレワーク下では、働いている従業員の勤務態度を直接見ることは困難です。このため、評価基準や賃金体系について、これまでとは異なるアプローチが必要となります。
そこで、テレワークに最適な評価・賃金体制について考察します。


新しい生活様式に対応した働き方とは

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業がテレワークを余儀なくされました。
東京商工会議所が2020年9~10月に会員企業を対象に行なった調査によると、53.1%の企業がテレワークを実施していました(図表1)。

図表1 テレワークの実施率(全体・開始時期)図表1 テレワークの実施率(全体・開始時期)

もともとテレワークは、一定の職種では、オフィスワークより生産性が高い働き方であり、しかも労働者の側からも歓迎されている働き方です。コロナ禍がいつか収束しても、テレワークは定着すると考えられます。
本稿では、テレワーク時代の賃金制度のあり方について考えてみました。


テレワークと生産性との関係は

テレワークとは、労働者がパソコンやスマートフォンなどの情報機器を使って、会社以外の場所で働くことです。
・自宅で仕事をする「在宅勤務」
・車内や顧客先、カフェなどで仕事をする「モバイル勤務」
・会社が契約するサテライトオフィスやコワーキングスペースで仕事をする「サテライトオフィス勤務」
という3つの形態があります。
テレワークは、すべての業務で可能なわけではありません。また、業務そのものがテレワーク可能であっても、幼少の子どもがいるとか、家が狭い、さらには家にいるとつい怠けてしまうなどの理由でテレワークが不可能あるいは苦手な人もいます。
しかし、少なくともテレワークが可能な業務であり、かつ、可能な人に関しては、生産性にプラスの影響があるという研究結果が出ています。
在宅勤務に関する有名な研究で、2015年に中国最大の旅行会社であるCtrip社(現Trip.com)を調査したものがあります。これによると、「全員オフィス勤務」から「希望者は在宅勤務」という体制に移行したことによって、オフィス勤務者も含む全体の生産性が25%上がりました。
病欠や休憩時間が減ること、通話頻度が増えることなどによって、生産性の向上が実現されたと言われています。
Ctrip社での調査は在宅勤務に限定したものであり、テレワーク一般に関する調査ではありませんが、在宅限定から「どこで働いてもよい」という制度に移行すると、さらに生産性が上がるようです。
アメリカの特許商標庁が、それまでの「在宅勤務限定。ただし週1日はオフィス勤務」という体制から「どこで働いてもよい。ただし年5回はオフィスに出向く」という体制に移行したところ、生産性が4.4%向上したという結果があります。
つまり、オフィスワークよりも在宅勤務のほうが生産性は高く、在宅勤務よりも、どこでも自由に働ける制度や環境がある会社はさらに生産性が高い。要するに、働き方の自由度が高いほど生産性が高いことがわかったのです。


テレワークは労働者から歓迎される働き方

また、コロナウイルスの感染が始まる以前の、2017年にギャラップが行なった世論調査の結果ですが、労働者は在宅勤務が許されるなら、給料が平均して8%減っても構わないと考えていました。いま同じ調査をすれば、より大幅に賃金が減っても構わないという結果が出るはずです。
コロナウイルスの感染拡大が収束しても、「新しい生活様式」として、マスクで顔を覆って通勤し、働くことが求められるからです。
テレワークは、特に知識労働者から歓迎される働き方です。
イギリスで、今回のコロナ禍に際して、ロックダウン中の知識労働者について調査したところ、「顧客や社外のパートナーとやり取りする時間が9%増えた」「重要だと思う活動が50%増えた」「退屈と感じる活動の割合が27%から12%に減った」などの結果が出ています。

(続く)

企業実務



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