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公開日:2020年8月21日

中小企業における テレワークに対応した評価制度の考え方 月刊「企業実務」 2020年9月号

各務 晶久(株式会社グローディア 中小企業診断士)


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導入企業の半数近くが取りやめているテレワーク

テレワークにおけるマネジメントの難しさ

テレワークにおける人事評価


新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、テレワークを導入する企業が増えていますが、その際、勤務態度を直接確認できないことから、人事評価にはこれまでとは異なるアプローチが必要となります。
そこで、テレワーク下における評価制度について解説します。


導入企業の半数近くが取りやめているテレワーク

これまでテレワークの導入には消極的だった日本企業も、コロナ禍で否応なしにテレワークと向き合わざるを得なくなりました。
テレワークには、すべての勤務日を在宅で行なうものから、週の1~2日だけを在宅に切り替えるものまで様々な形態があります。
東京商工リサーチがことし7月に行なった調査では、60%弱の企業が何らかの形でテレワークを一度は導入しています(図表1)。

図表1 テレワークの導入状況図表1 テレワークの導入状況

通勤時間がなくなることや、家族との時間が増えること、精神的な解放感など、労働者側からは、テレワークを歓迎する声が多いようです。
一方、企業側としても、テレワークの導入によって、事務所賃料や通勤費等の削減、より広域から優秀な人材を採用できるといった様々なメリットを享受できます。
一見、メリットばかりに目が行きがちなテレワークですが、急ごしらえで導入した結果、様々なひずみを生じています。

実際のところ、テレワークを導入した企業のうち、半数近くがテレワークを「いったん導入したが現在は取りやめた」と回答しており、課題が多いのが実情です。
日本経済新聞社がことし5月に行なった調査でも、テレワークを実施する企業からの回答のうち、大企業で91%、中小企業の71%の担当者が運用面で課題を感じていると答えています(図表2)。

図表2 在宅勤務・テレワークを運用するなかで感じている課題図表2 在宅勤務・テレワークを運用するなかで感じている課題

運用課題のうち、上位にあがるキーワードは、「紙の資料」「ハンコ文化」「情報セキュリティー」「コミュニケーション」などで、類似調査でもほぼ同様の傾向です。
「ハンコ文化」「自宅が狭く専用のワーキングスペースを取りにくい」といった独自要因も相まって、日本人の働き方は諸外国と比べてもテレワークへの親和性が低いようです。
このことは、レノボ・ジャパンがことし7月に世界10か国で働く男女に調査した結果からも明らかです(図表3)。

図表3 在宅勤務での生産性は、オフィスで勤務するより下がるとした回答者の比率図表3 在宅勤務での生産性は、オフィスで勤務するより下がるとした回答者の比率

同調査によると、「オフィスで働いているよりも、在宅勤務時の生産性は低い」と答えた日本人は40%に上り、世界平均の13%を大きく上回っています。
ハンコの廃止やセキュリティー対策などの問題解決は、そう難しくありません。どこまでリスクをとるのか、どこまで費用をかけるのか、どこまで割り切るのかを決めれば対処は自ずと決まってきます。ポイントは、「ハンコがあるから無理」と思考停止しないことでしょう。

それよりも難度の高い問題は、テレワークで生産性を落とさないよう、監視も監督もされていない状況でどうやって社員が自らを律するか、孤独な環境でモチベーションをいかに高めるか、社員同士が顔を合わさない環境でどのようにして組織へのロイヤリティを維持するか、などです。

これらは、従来型の「しごと観」や「組織観」からの脱却が求められるものばかりです。
その前提として、「テレワークに適したマネジメントのあり方」「テレワークに適した仕事のデザイン」といった、もっと根源的な議論が必要です。
その部分を十分に検討しないまま、「テレワークは日本企業になじまない」「中小企業でテレワークは無理だ」といった表面的な議論に終始しないことが肝要といえます。

(続く)

企業実務



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