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公開日:2012年2月16日

何をしてもいいわけではない! 昼休み時間中の社員をどこまで指導・管理するか 月刊「企業実務」 2012年2月号

小見山敏郎(社会保険労務士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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休憩時間に関して起こりそうな問題と対策

社内で休憩する場合に予想されるケース

会社のパソコンでゲームをすることを禁止してもよいか

パソコンは会社が業務に使用するために設置している設備ですから、業務以外の目的での使用を禁ずることができます。
オンラインゲームからウィルスに感染し、その結果、業務に大きな支障が出たり、企業情報が漏洩・流出するおそれも皆無ではありません。

会社のパソコンの私的な使用は就業規則で禁止し、違反者は懲戒処分の対象とするくらいの厳しい姿勢で臨むことが必要です。

休憩時間中の会議室の利用について制限や禁止はできるか

施設管理上、会議室等の会社施設を許可なく使用させる必要はありません。
他に適当な場所がなければ、休憩や食事などに利用するのを一概に禁止するのも問題ですが、急な用事で使用しなければならないこともあるので、休憩時間中の利用に関しては届出制や許可制としておけばよいでしょう。

趣味のサークル活動に使用する場合も同様です。楽器の練習など大きな音を出すものは、他の業務や従業員の休憩の妨げになることがあるので、特別な理由のない限り使用を許可しなくても問題ありません。

来客などの手前、デスクで弁当を食べることや昼寝をすることは、見た目が悪いので禁止してもよいか

これも施設管理上問題があるとして、デスクで食事や休憩をしないように求めてもかまいません。

しかし、社内に休憩に適した場所がほかになければ、しかたない面もあります。
休憩のための施設について、労働安全衛生規則では快適な職場環境を形成するために休憩室を設けるように事業主に求めています。

また、常時従業員50名以上、女性30名以上を使用する事業所では、労働者が体を横たえられる施設を男女別に設けなければならないと定めています。

休憩室の設置は努力義務規定ですので、必ず設置しなければならないというものではありませんが、休憩時間を実効のあるリフレッシュの時間とし、作業能率の向上をはかるという点からは、できるだけ設けることが望ましいといえます。
休憩のためのスペース確保が優先されるべきでしょう。

昼休みに同僚に物品を売ろうとしたり、昼休みに親戚の選挙活動をする社員がいるがやめさせることはできるか(副業禁止規定や政治活動禁止規定なし)

休憩時間中の同僚への物品の販売や、たとえ親戚のためであろうと選挙活動については、副業禁止規定や政治活動禁止規定の有無にかかわらず、他の従業員の休憩を妨害する恐れのある迷惑行為ですから、施設の管理者として禁止して問題ありません。

労働時間の解釈等で問題がありそうなケース

昼休み終了5分前の着席を義務づけてもよいか

休憩時間中、従業員には労働義務はなく、会社にも指揮命令権はありません。
5分前に着席を義務づけることは、実際に仕事をしていなくても、その時点で労働時間に入ったとみなされる可能性がないとはいえません。
労働時間が増えたことを理由に、場合によっては割増賃金を請求される恐れもあります。

電話や来客への対応を、そのとき社内にいる従業員になんとなく任せているが問題ないか

明確な命令や指示がなくとも、休憩時間中の従業員が電話や来客の応対をしているのを黙認している場合、これは労働時間であり、休憩時間とはみなされず、別途休憩を与えなければなりません。

また、電話や来客の応対のために待機することが必要とされている場合は、実際に電話に応対する時間だけが労働時間となるのではなく、待機している時間(手持ち時間といわれます)も含めて労働時間となります。

結果的に電話や来客がなく応対が必要でなかった場合も、休憩時間とはみなされません。
電話や来客に応対する必要があれば、輪番制で昼休み当番を決めて電話や来客に対応するなどの措置をとることです。

なお、交代で休憩をとる場合、一斉休憩の適用除外事業に該当していない事業については、労使協定が必要になります。

派遣社員やパートに対して正社員と異なる扱いをしても問題ないか

労働者派遣法では労基法などの一部について、派遣先事業主を使用者とみなす規定が置かれています。
このため、派遣社員にも自社の社員同様に休憩を与える必要があります。一斉休憩の適用を除外する協定がある場合、派遣労働者もそれに従うことになります。

パートタイマーに関しては、労働時間によって休憩時間が必要ない場合がありますが、休憩時間を与える必要がある場合は、一斉休憩や自由利用の原則は社員と区別なく適用されます。
休憩時間を与える必要がないとされている労働時間が6時間以下のパートタイマーについても、昼をはさんでの勤務となる場合は、作業能率の点からも昼食をとる時間を与えるようにしたほうがよいでしょう。

また、業務繁忙などで6時間を超えて労働させようとすると、45分の休憩時間を与えることが必要となり、たとえ30分の残業でも休憩時間を含めると終業時刻は1時間15分遅くなりますので、最初から休憩を与えておいたほうがよい場合もあります。

なお、パートタイム労働法や派遣先指針により、休憩施設や食堂などの福利施設は社員と区別なく利用できるように努めることが求められています。

休憩時間も休みなく働くので、そのぶん早帰りさせてほしいという要求があるが…

休憩をとらずに働いて、そのぶんだけ早帰りしたいという要望があった場合、これを認めてよいのは、法律上休憩時間を与える必要がない、労働時間が6時間以下の者だけです。
労働時間が6時間を超える者には労基法34条で「休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」とされています。
休憩時間を労働時間の後先につけて早帰りや遅出をすることは、たとえ本人の要望があっても認められません。
これを認めると、会社は労基法34条違反(罰則あり)となってしまいます。

社外で過ごす場合に問題となりそうなケース

車を運転する可能性のない社員が昼食時に飲酒するのを禁止できるか

飲酒運転は論外ですが、車を運転することがない業務に就いている者であっても、昼食後は酒気を帯びた状態で勤務することになります。
いくら休憩時間が自由に利用できるからといっても、社会通念上も職場の規律維持の観点からも許されることではありません。
休憩時間中の飲酒は厳に禁止し、就業規則に該当する規定があれば違反者を懲戒処分の対象にしても問題ないと考えられます。

休憩時間中の社外での行動を制限できるか

施設管理権なども及ばない、社外での休憩時間中の行動を制限するのは困難です。

職場内に十分な食事・休憩のとれる食堂や休憩室などの設備がある場合には、外出を届出制や許可制にすることは差し支えないとされていますが、禁止するのは合理的な理由がなければむずかしいと考えられます。
社外での食事や休憩を制限したり、従業員が自宅で食事をするために帰宅することを禁止するのは、特別な事情がない限り困難です。

事業の性質上、パチンコやゲームセンターなどへの出入りが好ましくない場合も、それ自体を禁止することは困難です。
ただし、会社名の入った作業服やネームプレートなど所属のわかるものを着用したままでの外出を禁止する程度であれば問題ないでしょう。

昼休みの時間を利用して軽い運動などを行なうことは、リフレッシュ効果も高く、午後からの労働にもよい影響を与えると考えられます。
もっとも、集中しすぎて疲労困憊し、仕事が手につかなくなるような過度の運動については、場合により禁止してもよいと考えられます。

そこまで過激な運動でない場合、単に事故の危険があるという程度では、事故に気をつけるよう本人に注意を喚起すること以上の対応はむずかしいでしょう。



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