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公開日:2014年3月17日

中小企業でも増えている 自己株式の取得・処分に関する会計と税務 月刊「企業実務」 2014年3月号

宮 政雄(税理士)

企業実務TOPICS(経理・税務)


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企業再編と自己株式の活用

企業再編は必ずしも自己株式を利用しなくても実現可能ですが、自己株式の利用によって簡単に、また調達資金を小規模にできる可能性があります。

一方、吸収合併、株式交換、吸収分割は吸収型組織再編といわれますが、この場合にも新株の発行や金銭の提供だけでなく自己株式を対価として提供することができます。
かつてはこのケースでもインサイダー取引規制の対象になっていましたが、現在は規制対象外になっています。

自己株式を吸収合併の対価として消滅会社の株主に割り当てた場合は、次のようになります。
割り当てた存続会社では自己株の処分対価から自己株式の帳簿価額を控除した額を自己株式処分差額として、その分を払込資本の増加とします。
自己株式の処分対価とその帳簿価額の差額のみが払込資本の増加額になるという点は大きなメリットです。
これは、株式交換による事業再編でも同様です。
資本の部の内訳は合併契約の規定によりますが、差額が生じるケースもあります。
プラスになれば問題はありませんが、マイナスの際はその他資本剰余金から減額します。
さらに足りない場合があれば、その他利益剰余金の減少とします。

株式の分散防止と相続対策

株式の分散防止

中小企業で相続等が発生すると、株式が分散してしまって経営に支障をきたすこともあります。
株式を買い戻す際も、事業の継続に理解のある親族ばかりではなく、より高額な価格で換金したいと考える場合も想定されます。

このため、会社が自己株式を取得できることを活用し、株式を相続等した者に対して売渡請求ができる旨を定款で定めておけば、株の分散など不本意な事態を招かずに済みます。

相続対策

また、自己株式と切っても切れないものが中小企業オーナーの相続対策です。

中小企業ではオーナーが死亡して相続が発生した場合、一定の要件を満たせば、そのオーナーの所有するその会社の株式を後継者が受け継ぎ、事業承継する場合に相続税(贈与税)の納税猶予を受けることができます。
中小企業者で非上場会社かつ風俗営業でないこと、資産管理会社にも該当せず、従業員が1人以上という会社の要件、さらに、会社の代表者でその者を含む親族が議決権(株数ではない)の過半数を保有し、かつこれらの者のなかで筆頭株主であったという現経営者の要件を満たす必要があります。

また、後継者が親族で相続直前には会社役員、しかも相続開始から5か月後に代表者になっていること、相続開始時にその後継者を含む親族で議決権の過半数を保有し、しかも筆頭株主である後継者がいることが必要です。
そして申告期限後5年間、代表を務め筆頭株主である、雇用の8割以上維持、猶予対象株を継続保有、上場会社、風俗営業、資産管理会社でない場合に納税が猶予されます。
たとえば、相続税のケースで自社株7億円、その他財産3億円、合計10億円の相続財産で、相続人は事業承継者と非承継者各1名だけとすると、猶予額が約2億2,000万円になることがあります。
自社でも利用可能かどうか、検討しておくとよいでしょう。

また、自己株式を購入する時期(適正株価)次第では、オーナーの相続財産引下げ効果が生じる場合もあります。
さらに、個人が非上場会社の株式をその発行会社に買い取ってもらう場合、前述のように利益剰余金に相当する額はみなし配当として課税されますが、相続等の場合で相続税が発生するケースでは、相続開始の日の翌日から申告期限の翌日以後3年以内にその企業に株式を譲渡すると、みなし配当課税がありません。
一方、相続税額の一定割合を譲渡所得の計算上、取得費に加算できる特例もあります。

このように、自己株式には様々なメリットがあります。
上手に活用して、経営の安定に役立ててください。




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