N.J. HIGH-TEC - NJ Business Online

経理・税務 | エヌ・ジェイ出版販売株式会社


【お知らせ】 実践「経営実学大全」 好評発売中です

Home経理・税務企業実務TOPICS(経理・税務) ≫ 事例に学ぶ 経営者の連帯保証なしで銀行借入を成功させる法...
公開日:2013年10月17日

事例に学ぶ 経営者の連帯保証なしで銀行借入を成功させる法 月刊「企業実務」 2013年10月号

豊島健治(金融・財務コンサルタント)

企業実務TOPICS(経理・税務)


このエントリーをはてなブックマークに追加  

連帯保証制度に風穴を開ける動きが…

今春、連帯保証を巡る動きが新聞等で報道されました。企業関係者が注目すべきトピックは次の2つです。

民法の契約ルールの見直し

ひとつは、法制審議会が進めている民法の契約ルール見直し作業で示された改正試案のなかに、「中小企業が融資を受ける際の個人保証を経営者に限定する」という文言が入っていることです。

すでに2年前、金融庁の監督指針により「原則として第三者保証はとらない」という方向性が打ち出され、以来第三者保証人は不要というルールが定着しつつありますが、改正試案どおりになればそれが法的根拠を持ちます。

いつ頃法律として成立するかはわかりませんが、今後、銀行が第三者保証を求めることはなくなるとみてよいと思います。

中小企業庁・金融庁による新指針の策定

もうひとつは中小企業庁と金融庁において、会社が倒産しても連帯保証している経営者の個人資産を全額没収されないような指針を今年度中に策定する案が検討されていることです。

会社が倒産・廃業しても経営者が再起しやすい環境を整え、日本経済の活性化につなげるのがその狙いのようです。

どの程度の個人資産が残せるのか詳細はまだ明らかにされていませんし、金融機関との調整等実現まで紆余曲折がありそうですが、実現すれば会社倒産によって経営者が個人資産をすべて失うという事態はなくなります。

こうした動きが出てきたことは、連帯保証制度に苦しめられてきた中小企業関係者にとって朗報であることは間違いありません。

第三者保証人が不要となることは、「頼む苦しみ」「頼まれる苦しみ」からの解放を意味し、それが原因で起こる人間関係の崩壊がなくなることを意味しますし、全財産没収禁止は「倒産すればすべてを失う」という恐怖感を薄めます。改正の早期実現が待たれるゆえんです。


銀行融資と経営者の連帯保証

連帯保証を巡って大きな動きが出てきていますが、中小企業融資において銀行が経営者(社長)の連帯保証を求めるのは依然として「当然のこと」とされています。
旅籠屋の事例はまだ例外の範疇に入ると言ってよいでしょう。

なぜ銀行は経営者を連帯保証人として求めるのでしょうか。逆に、連帯保証を求めない企業とはどういう企業なのでしょうか。

この点を明確に把握しておくことは、経営者の連帯保証をはずす交渉を進めるうえで重要です。主な理由を確認していきましょう(図表2)。

図表2 経営者を連帯保証人として求める主な理由

【1】中小企業と経営者を一体として見ているため

第1の理由は、中小企業融資にあたって、銀行は融資先企業と経営者を一体として見ていることにあります。
貸出審査においても企業評価にあたっても、会社と経営者個人をひとつのものとして審査・評価しているということです。

当然、経営者個人の資産や人柄等についても審査や評価の対象となっています。

【2】経営責任を含め厳格な規律づけを行なうため

第2の理由は、保証契約による経営者の規律づけです。

モラルハザード防止と言ったほうがわかりやすいかもしれませんが、要は「(倒産すればすべてを失うといったほどの)覚悟をもって経営にあたってもらう」という意味が込められています。

これと同時に、「会社の資産を意図的に隠匿したり、散逸したりするのを防ぐ」という狙いもあります。

【3】貸出審査で重要な位置を占める決算書の信頼性を担保するため

第3の理由は、貸出審査で重要な位置を占める決算書の信頼性を担保することです。

中小企業の決算書の信頼性は、中小会計要領の普及などで徐々に高まってきているところですが、依然として透明性・客観性を欠く会計処理が行なわれていると見られています。

つまり、「経営者を連帯保証人につけることで決算書の信頼性を補おう」というわけです。

          ◇

銀行には融資したお金を回収する義務があります。不特定多数の顧客から預かった預金を貸出に回す金融業として当然の務めです。

であれば、そのために万全の措置をとることが要求されます。経営者を連帯保証人とする上記3つの理由は、貸出金を確実に回収するための方策である、というのが銀行の基本的考え方といえます。

一方、銀行では連帯保証を求めない企業向け融資も行なわれています。例外はあるかもしれませんが、その第一は上場企業です。

上場企業が経営者の連帯保証を免除される理由については、【1】企業統治(ガバナンス)が効いている、【2】情報開示体制が確立している、【3】決算書の透明性・客観性が外部監査等で確保されている、などが挙げられます。

もちろん、業績が悪化すれば連帯保証を求められるケースはあるでしょうが、企業としてのあり方が投資家や債権者など外に向かって開かれていることが大きな理由であると考えられます。




このエントリーをはてなブックマークに追加  



PAGE TOP