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公開日:2013年3月17日

運転資金の管理等に有用 キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を経営改善に活かす 月刊「企業実務」 2013年3月号

笹川和幸(税理士)

企業実務TOPICS(経理・税務)


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キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)は仕入から販売に伴う現金回収までの日数を意味し、日数が小さいほど資金繰りは改善します。ここではCCCに馴染みのない企業担当者向けに、その概略を説明します。

そもそも「CCC」とは何か

米アップルをはじめ、米国企業では、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash ConversionCycle、以下「CCC」といいます)が、経営指標としてごく普通に浸透しています。

2012年1月17日の日本経済新聞に、米アップルのCCCが「マイナス20日」となっているという記事が掲載されました。
これは何を意味するのでしょうか?

企業における一般的な活動の流れは、小売業や卸売業であれば商品の仕入を行ない、製造業や飲食業であれば原材料から製品等を製造し、一定期間をかけて店舗等で販売し、その後、お客様から代金を回収します。

CCCとは、「キャッシュ→商品→支払い→販売→回収」という一連の現金循環のサイクルにおける各過程の回転日数に基づいて、「運転資金要調達期間」を明らかにする指標です(図表1)

図表1 CCCの計算式
前述した米アップルの報道は、同社がiPhoneやiPadといった製品を製造する前からキャッシュを手にしている、ということを意味しているのです。

CCCの計算方法を見てみよう

まず、CCCの構成要素となる、

  • 売上債権回転日数
  • 棚卸資産回転日数
  • 買入債務回転日数

の3指標を見ていきましょう。
なお、全指標の分子の金額は、期末時点における残高のみを使用するのではなく、できるだけ期中の残高を用いることが重要です。
そのため、略式ですが、期首(前年度末)残高と期末(当年度末)残高を足して2で割り、「平均残高」で計算するのが一般的です。

売上債権回転日数

売上債権の回収期間を示すもので、この期間が長ければ貸倒れ事故が発生する危険が大きく、また資金繰りが悪化していることを示しています。

一般的に売上債権に含まれるものは、「受取手形」と「売掛金」ですが、勘定科目にとらわれることなく、「未収入金」勘定等が売上代金の回収に伴う債権である場合は加算します。

また、受取手形を割り引いた場合に、「割引手形」勘定を使用して仕訳を行なう場合と、直接受取手形勘定を減額し、貸借対照表に注記する場合がありますが、後者の場合は割引手形の金額を加算する必要があります。

さらに、米アップルのように、製品の販売前に「前受金」を受領している場合、売上債権から前受金の額を差し引いて計算することも忘れないようにしてください。

棚卸資産回転日数

過大な棚卸資産は、資本の効果的運用の大きな妨げとなります。

製造業等は、原材料の仕入から製品完成にいたるまで一定の生産期間が必要なので、回転期間を縮めるにも限界があります。
長期工事を行なう建設業は、この傾向が著しくなります。

棚卸資産回転日数の計算は、分母に「売上原価」ではなく「売上高」を用いる場合があります。
どちらを用いるかは、どのような日数を知りたいかによって変わってきます。

棚卸資産の販売までに要する日数が売上高の何日分に相当するかを計算したい場合は、棚卸資産回転日数の分母に売上高を用います。

棚卸資産を仕入れてから実際に販売されるまでの平均的な日数を知りたい場合、分母は「売上原価」を用います。
この場合、「当期仕入高」ではないことに注意が必要です。
当期の仕入高は、まだ販売されていない在庫分を含んだ金額となるので、正確な回転日数が計算できません。

製造業や建設業の場合はさらに注意を要します。
これらの業種の売上原価は製品製造原価となるため、損益計算書の数字をそのまま用いると、多額の労務賃金や減価償却費、その他製造経費を含んだ金額となってしまいます。

製造業や建設業の場合は、製造原価報告書を参照し、材料費と外注加工費の合計額を算出したうえで回転日数を算出してください。

買入債務回転日数

買入債務回転期間は支払いについての取引条件を明らかにしようとするものです。
支払サイトが短期間である場合、それだけ資金調達コストが発生します。

回転期間が長期になるほど資金繰りは楽になりますが、同業他社と比較し著しい差がある場合は取引先とのトラブルを生ずる可能性もあります。
資金繰りだけを意識してむやみに期間を繰り延べることは好ましくありません。
買入債務回転日数の算定は棚卸資産回転日数同様、分母に「売上高」を用いる場合もありますが、CCCでは実際の物理的日数の差異を計算したいため、売上原価を用いて計算します。

さらに、計算の精度を上げるためには、売上原価ではなく「仕入債務支払高」を用いることができます。仕入債務支払高の計算方法は、「期首買入債務+当期商品仕入高-期末買入債務」です。




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