【Q1】
被災地域における税務申告等の期限の延長については、どのようになっていますか。
【A1】
国税通則法施行令で「国税庁長官は、都道府県の全部または一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付または徴収に関する期限までに申告等をすることができないと認める場合には、地域と期日を指定して当該期限を延長する」旨が規定されています。
この規定に基づいて、平成23年3月15日(国税庁告示第8号)に期限の延長が行なわれました。
対象となるのは、今回の地震が所得税・贈与税の申告・納付の期限(3月15日)が差し迫っているなかで発生したことをふまえて、当面の対応として、多大な被害を受けているとの報道がある青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に国税の納税地を有する納税者に係るもので、その期限が平成23年3月11日以降に到来する国税です。申告等の期限は、別途、国税庁告示で定める期日まで自動的に延長されました。
なお、対象地域については、今後被災の状況に応じて見直していくこととされています。
【Q2】
前記以外の都道府県で被災した場合の税務申告等の期限の延長については、どのようになっているのでしょうか。
【A2】
国税通則法施行令で「税務署長等は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付または徴収に関する期限までに申告等をすることができないと認める場合には、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長する」旨が規定されています。
この規定に基づいて、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県以外の地域に納税地を有する納税者についても、地震の影響によって申告・納付等ができない場合には、申告・納付等の期限延長が認められることになります。
この場合には、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記載して、状況が落ち着いた段階で税務署に提出することになりますが、申告等と併せて申請書を提出することもできます。
申告・納付等ができない具体的な理由として、次のようなものが掲げられています。
【Q3】
所得税の振替納税の期日が延長されるそうですが、どのようになっていますか。
【A3】
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の納税者については、申告所得税の平成22年確定申告分の申告・納税の期限が延長されました(Q1参照)ので、4月22日(金)に予定されていた所得税の振替納付日についても延長されることになりました。
また、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県以外の地域に納税地を有する納税者が、個別の申請によって申告所得税の平成22年確定申告分の申告・納付の期限延長を受けた場合(Q2参照)にも、同様に振替納付日が延長されます。
なお、延長後の振替納付日については、後日、所轄税務署から連絡されることになります。
【Q4】
災害によって損害を受けた場合の納税の猶予について教えてください。
【A4】
災害によって相当な損失(全財産の価額のおおむね20%以上の損失)を受けた場合には、次のような国税で、その損失を受けた日以後1年以内に納付すべきものについて、損失の程度によって納期限から1年以内の期間、納税の猶予を受けることができます。
なお、この納税の猶予を受けるには、災害のやんだ日から2か月以内に「納税の猶予申請書」と「被災明細書」を提出する必要があります。
【Q5】
災害等を受けたことが理由で納付が困難になった場合の納税の猶予はどうなっていますか。
【A5】
災害その他やむを得ない理由に基づき、国税を一時に納付することができないと認められる場合には、税務署長の承認を受ければ、納税の猶予を受けられます。
納税の猶予期間は、原則として1年以内の期間ですが、猶予の期間内に納付ができないやむを得ない理由がある場合は、すでに認められている猶予期間と合わせて2年を超えない期間内で、申請によって納税の猶予期間の延長(したがって、猶予期間は最長で3年間となります)を受けられます。
この納税の猶予を受けるには、「納税の猶予申請書」を提出しますが、災害によって損害を受けた場合の納税の猶予(Q4参照)とは異なり、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要となります。
【Q6】
災害によって資産が被害を受けたり、災害復旧費用を支出した場合の税務上の取扱いについて教えてください。
【A6】
店舗や事務所等の固定資産、商品、原材料等の棚卸資産などが災害によって滅失、損壊した場合の損失の額、損壊した資産の取壊しや除去のための費用、土砂その他の障害物の除去のための費用は、損金の額に算入されます。
また、災害によって被害を受けた固定資産(被災資産)について、その原状を回復するための費用や被災前の効用を維持するために行なう補強工事、排水や土砂崩れの防止等のために支出する費用は、修繕費として損金の額に算入され
ます。
固定資産に対して支出する金額のうち、その資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額、その資産の価額を増加させる部分に対応する金額は、資本的支出(減価償却の対象)として資産計上します。
ただし、固定資産について支出する金額のうち、資本的支出か修繕費かが明らかでないものがある場合には、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出として処理することが認められています。