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公開日:2018年6月21日

業績向上につながる「従業員エンゲージメント」の高め方 月刊「企業実務」 2018年7月号

市川幹人(ウイリス・タワーズワトソン/Talent & Rewards 従業員意識調査領域統括)


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【分析】従業員エンゲージメントを高めるとなぜ業績が上がるのか

【指針】従業員エンゲージメントを高める施策とは

【事例レポート】従業員の参画意識につながる企業の取組み


従業員の1人ひとりが企業の掲げる戦略目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲を表す「従業員エンゲージメント」。
これを高めることが業績向上につながり、また従業員の定着にも寄与するといわれています。
その理由と従業員エンゲージメントの向上策について検証します。

【分析】従業員エンゲージメントを高めるとなぜ業績が上がるのか


従業員エンゲージメントが注目を集める背景とは

英単語としての「エンゲージメント」の意味を改めて調べてみると、「結婚の約束」「誓約」「予定」などの訳語が並んでいます。
しかし、「従業員エンゲージメント」に対しては、「従事している、没頭している」という意味が最もしっくりくるように思われます。
自分の担当業務を自発的に遂行し、会社や所属組織の成功に貢献しようとする前向きな取組み姿勢を指すと考えればよいのです。

調査の分野においては、日本では「従業員満足度調査」と「エンゲージメント調査」の違いをあまり意識せずに議論する企業も少なくありませんが、両者には明らかな違いが存在します。
前者は従業員が職場や仕事に対して受動的な姿勢で満足・納得しているかを測定するのに対し、後者は従業員がどれだけ能動的に会社・組織・仕事に働きかけようとしているかを測定するのが基本的な考え方といえます(図表1)。

図表1 「従業員エンゲージメント」の捉え方

実は、この1~2年、従来以上に従業員エンゲージメントに注目する企業が増加したように見受けられます。
その背景にあるのは、「働き方改革」を推進しようとする日本企業全体の機運ではないでしょうか。足元の「残業削減」を徹底しようとする企業において、生産性が向上しないまま、従業員が中途半端な仕事をした結果、市場における競争力が低下しては意味がありません。

成果を得るために投入できる人材や時間が縮減される状況にあっても、企業が持続的に発展するためには、1人ひとりが前向きな姿勢で持っている能力を最大限発揮できるような職場づくりが、従来以上に重要になっていると考えられます。

従業員エンゲージメントの高さと業績の関係

では、従業員エンゲージメントを高めることは、業績向上に寄与するのでしょうか。
これは「従業員エンゲージメント調査」を実施する企業から必ずといってよいほど投げかけられる問いです。実際、従業員エンゲージメントと企業業績の関係については、様々な分析がされています。人事・組織コンサルティング会社である当社でも、これまでサポートさせていただいたクライント企業のデータに基づく検証を行なってきました(図表2)。

図表2 「持続可能なエンゲージメント」と企業活動に与える影響

結論はシンプルなもので、「一般に、従業員エンゲージメントを引き上げることは、企業業績の向上に寄与する」ことが確認されています。

さらに、当社では、単に、
(1) 各従業員のエンゲージメントだけに頼るのではなく
(2) 仕事しやすい環境を整え
(3) 従業員が心身ともに健康な状態を実現すること
によって、中長期的にエンゲージメントを維持すること(「持続可能なエンゲージメント」と呼びます)こそが、企業活動にプラスのインパクトを与えるという点に注目しています。

必死に頑張ってきた従業員が疲弊し、半年後、1年後に会社を去ってしまうのでは、まったく意味がありません。
あえて数字で具体例を示してみると、従業員エンゲージメントが低い企業に対し、先の3要素がすべて十分に揃っている企業の営業利益率は約3倍にも達していました。そのほか、欠勤日数の少なさ、離職率の低さ、総資産の伸び率の高さなども確認されています。

もちろん、これらの項目に影響を与える要素は「エンゲージメント」以外にも多数存在することから、こうした分析結果は一定の傾向値を示しているに過ぎないことには留意する必要があります。
しかし、常識的に考えてみてください。自社の戦略に共感し、前向きな取組み意欲を持つ従業員が、効率的な業務遂行が可能な環境で、心身ともに健康な状態を維持しながら働いているのなら、当然結果はついてくるでしょう。

逆に、やる気がなく、非効率な仕事しかできない職場環境で、日々残業や過度なプレッシャーで心身ともに疲れ果てているような従業員のパフォーマンスと比較すれば、「持続可能なエンゲージメント」がもたらす効果に違和感を抱く人はいないでしょう。

(続く)

企業実務



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