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公開日:2018年4月19日

株主総会を円滑に進める5つの要所 月刊「企業実務」 2018年5月号

清野訟一(祝田法律事務所/弁護士)


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【1】漏れのない 当日の役割分担

【2】間違いのない 議事進行シナリオ

【3】要点を適確に伝える 事業報告

【4】質疑応答をスムーズにこなす 想定問答の作成

【5】動議への対応 の確認


株主総会の当日の運営を誤ると、決議すべき議案が決議できていなかったなど、重大な結果が生じかねません。
株主総会を円滑に進めるための要所について解説します。

【1】漏れのない 当日の役割分担


株主総会当日の役割分担は、図表1のようなものが考えられます。

図表1 株主総会当日の役割分担の例

各社の事情に合わせ、必要な役割について漏れのないよう分担を決めておく必要があります。

会場設営と運営にあたっての留意点

株主総会を円滑に進めるためには、会場をどのように設営するかが非常に重要です。当日に慌ただしく会場設営を行なうと漏れが出る可能性が高まりますので、会場の都合が許す限り、株主総会の前日までに会場設営を終えます。
それができれば、当日は確認作業をするだけで足りるので安心感が高まります。会場設営にあたって重要な点は以下のとおりです。

●開催場所・会場の選択

株主総会の開催場所は比較的自由に選択できます。かつては定款に別段の定めがある場合を除き、本店の所在地またはそれに隣接する地を開催場所とする必要がありましたが、法改正により、定款の定めがある場合を除き、開催場所は自由に決定できるようになりました。ただし、過去の開催場所と著しく離れた場所である場合には、その場所を決定した理由を招集通知に記載しなければなりません。「著しく離れた場所」とは、過去の開催場所からの移動に相当の時間を要し、株主が株主総会の開始時間に出席することが困難となるような場所のことを指します。たとえば過去に東京を開催場所としていた会社が大阪を開催場所に選択したような場合が該当します。
会場は自社の会議室でもホテル等の施設でも構いません。自社の製品等の展示などをすれば、株主の会社に対する理解が深まることも期待できますし、待ち時間に株主を退屈させないという効果も考えられます。
狭い会場を選択し、会場に入りきれない株主がいた場合、入りきれない株主を参加させないまま決議をすれば、株主総会の決議取消事由になり得ます。例年の出席者よりも相当程度多い座席数を用意するのが適切です。

●会場の警備

会場の警備については、まずは自社の従業員で対応することになりますが、警備会社に依頼する方法や、場合によっては、警察官に臨場を要請する方法も考えられます。

●配席

合理的な理由がない限り、優先的に従業員株主等の関係者を前列に配置するようなことは避けます。

●受付

(1) 株主確認
議決権を行使できる株主は、基準日時点において株主名簿に記載されていることが必要です。総会に出席する権利がない者を入場させてしまったり、総会に出席する権利がある株主の入場を認めなかったりすると、招集手続に問題があったことになり、株主総会決議取消事由となる可能性があります。
非公開会社の場合には特段の本人確認が不要な場合も多いと思われますが、直ちに本人確認ができない場合には、総会の会場入口の受付での本人確認の方法を決めておきます。
受付で株主確認を行なう場合には、あわせて出席者リストを作成するなどして出席株主の議決権個数の集計を行なうのが便宜です。
議決権行使書を送付している場合には、議決権行使書を持参した者を株主として入場させるのが一般的です。議決権行使書を送付していない場合や、議決権行使書を送付したものの持参してこなかった来場者については、準備していた用紙に住所・氏名等を記入してもらい、基準日時点における株主名簿と照合して本人確認を行なうのが一般的です。
株主が法人の場合には、議決権を行使できるのは法人の代表者です。とはいえ、法人の関係者が来場した場合に、代表者でなければ一切議決権行使を認めないという対応とするのも現実的ではありません。そこで、議決権行使書により確認を行なうこととしたり、議決権行使書に加えて名刺や身分証明書等の提出を求めたり、職務代行通知書の提出を求めることも考えられます。
株主確認をどの程度行なうかは、会社と株主の関係にもよります。合理的な範囲で適切に株主確認が行なえる方法を検討します。

(2) 荷物チェック
総会に出席する株主の所持品をチェックしたり、所持品の使用により総会場の秩序が乱される可能性がある物を預かったりすることは、平穏な総会を運営するうえで必要な範囲内の処置であれば適法です。
ただし、国内の上場会社に対する直近の定時株主総会に関するアンケート結果では、所持品チェック・持込制限を行なわなかった会社は74.8%にのぼります(旬刊商事法務2151号『株主総会白書2017年版』96~97ページ)。
クロークで預かることなどを想定してか、持込制限をする意義は少なくなっているようです。

(続く)

企業実務



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