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公開日:2018年2月19日

「シニア社員」活性化策はこうして進める 月刊「企業実務」 2018年3月号

小林智明(株式会社日本能率協会マネジメントセンター シニアHRMコンサルタント)/ 宍戸拓人(武蔵野大学経済学部准教授)


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データから検証するシニア社員が活きるマネジメントとは

シニア社員の力を引き出す労働条件の設定


多様な人材にさまざまな形で活躍してもらうことが求められている昨今、シニア層に活き活きと働いてもらい、成果を上げることは重要なテーマのひとつだ。
そうした層を活性化させるためのポイントについて、実態調査の結果をひもときながら考察する。

データから検証するシニア社員が活きるマネジメントとは


少子高齢化による労働力不足への対応、多様な人材を活用するダイバーシティ経営といった課題に対するソリューションのひとつとされるのが、シニア人材の活用です。

「これまでの企業にとって、50代以上のシニア世代は『後継者を育ててもらいつつ、いかにしてキャリアを考え、リタイアしてもらうか』という存在でした。しかしいま、企業の人事はこうした人事戦略を180度転換することが求められています」

と、株式会社日本能率協会マネジメントセンターでキャリア開発の研修等に従事する小林智明氏は言います。

「いまのシニア世代は元気ですから、後進の育成だけでなく、前線で活躍してもらいたい、というふうに期待と役割が変化してきています。階層別のキャリア研修も、セカンドキャリアを考えてもらうといった視点だけでなく、さらなる能力開発を行ない引き続き前線で活躍するためのプログラムが求められていますし、そのためのマネジメントが急務になっているのです」

武蔵野大学経済学部経営学科の宍戸拓人准教授は、「シニア層の能力を引き出すには、従来からあるマネジメントの常識だけでは不十分」と指摘します。

「シニア層には経験や知識の蓄積という強みがある反面、非シニア層に比べて、抽象的なことを考えることが苦手になったり体力的な衰えがきていたり、といった弱みが生じることが明らかになっています。若手社員を対象とするのと同じようなマネジメントでは、効果がない場合もあり、シニア層に合ったマネジメントが必要です」

基本や原則は世代とは関係ないにしても、なかにはシニアか若手のいずれか一方にしか効果がないマネジメントも考えられるといいます。

そこで、日本能率協会マネジメントセンターは宍戸氏と共同で、シニア社員と非シニア社員の意識を比較し、シニア社員を理解するための実態調査を実施しました。
なお、この調査における「シニア社員」は50歳以上と定義づけられています。

「シニア人材に関する調査」概要

きちんとした職場環境がシニア社員の能力を引き出す

この調査から、シニア社員と非シニア社員は、仕事に対するモチベーションを生み出す源泉が必ずしも同じでないことが明らかになりました。
まず、仕事に対する熱心さを示す「エンゲージメント」は、「きちんとした」環境を好むシニア社員ほど高まりやすいという結果が出ています(図表1)。

図表1 「きちんとしていることを好む程度→エンゲージメント」の関係

きちんとしているというのは、業務が計画的に行なわれていたり、仕事が秩序立っていたり、社内のルールがきちんと決まっていたり、ということが想定されます。
こうした点を好むシニア社員ほど仕事熱心であるのに対して、若手である非シニア社員(調査対象は30代の非役職者)では、いい加減な状況であることを気にしない人でもエンゲージメントが特に悪くなることはありませんでした。

この結果について、宍戸氏は次のように分析しています。

「新しい物事や環境といった不確実性に順応する力は、加齢と共に衰えていくことが多くの研究で明らかになっています。新規事業の立上げなど、予期せぬ事態が起こりやすい職場はシニアが苦手とする環境となりやすいといえます。一方で、作業手順や型がきちんと決まっているような仕事は、経験や知識の蓄積というシニアの強みが活かせる分野です。そうした職場環境はシニア社員の強みを引き出しやすいと解釈できます。
したがって、きちんとしたことを好むシニア社員は、新しいものが苦手だという自覚があり、自分の弱みを理解できている社員であるからこそ、自分の強みを発揮できる仕事に集中し、高いパフォーマンスを達成できているのだと思います。」

(続く)

企業実務



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