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公開日:2017年8月21日

債権法改正で求められる実務対応4つのポイント 月刊「企業実務」 2017年9月号

採澤友香(あさひ法律事務所/弁護士)関根こすも(あさひ法律事務所/弁護士)


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120年ぶりに民法(債務関係)が改正された。その影響は様々なところに出ると思われる。
約3年後の施行を見据え、とくに現時点で押さえておきたい4つの改正項目とそれに伴う実務上の留意点について解説する。


【民法改正の趣旨と施行スケジュール】

■ポイント1 消滅時効に関するルール変更

■ポイント2 法定利率に関するルール変更

■ポイント3 保証に関するルール変更

■ポイント4 「定型約款」の新設

民法改正の趣旨と施行スケジュール


本年5月26日、民法改正法が成立し、6月2日、公布されました。
現行民法が施行されたのは1898(明治31)年です。このうち契約等のルールを定めた債権法については、施行以来、実に120年ぶりに内容が見直され、改正されることとなりました。
120年前には想定されていなかったインターネット取引をはじめ、現代の社会や経済の状況と現行民法のルールには乖離が生じているものもあります。また、現行民法に明文規定がないため、法解釈に委ねられてきた事項も多々あります。今回の民法改正は、現代社会の実情に合わせたルールを再設定するとともに、判例の蓄積や議論によって定着した法理を明文化することに、その主なねらいがあります(図表1)。


図表1 多岐にわたる民法(債権法)改正の内容

改正法の施行日は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、現段階(8月8日時点)では、2020年1月または同年4月に施行されるとする見方が有力です。
改正法は直ちに施行されるわけではないですが、施行後に実務に影響が出る分野もあるため、いまから社内規定の見直しなど、実務の変更に備えておくと万全です。
本稿では、改正法の目玉である4つの分野を取り上げ、改正内容と実務的に留意すべき点を解説します。

■ポイント1 消滅時効に関するルール変更


1.改正の趣旨

消滅時効とは、ある権利が行使されない状態が継続した場合に、その権利の消滅を認める制度です。
現行法では、債権の消滅時効の時効期間を、原則10年としつつ(現行法167条1項)、例外として職業別の短期消滅時効制度を設けていました(同170条~174条)。さらに、それとは別に、商行為によって生じた債権については、時効期間を5年とする商事消滅時効も存在しました(商法522条)。
そのため、債権ごとに、どの時効期間が適用されるかの確認が必要となり、煩雑であるという問題がありました。
そこで、改正法では、時効期間の統一化を中心に、時効制度について、いくつかの抜本的な見直しを行ないました。

2.改正のポイント

【1】 時効期間が統一される

改正法では、(1)債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年、(2)客観的に権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年、という2つの期間を併用し、このうちいずれかの時効期間が満了すれば消滅時効が完成するという制度が採用されました(改正法166条1項)。
そして、これに伴い、職業別に定められていた短期消滅時効と商事消滅時効は廃止され、前記の原則的な時効期間に統一されることとなります。
なお、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、現行法の期間が維持され、損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年とされました(改正法724条)。
もっとも、生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は、不法行為によるものか債務不履行によるものかを問わず、一律に主観的起算点から5年、客観的起算点から20年で統一されます(図表2)。


図表2 法改正後の時効期間

(続く)

企業実務



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