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公開日:2016年4月20日

適用拡大の動きはまだ続く 「社会保険料インフレ」に備える 月刊「企業実務」 2016年5月号

高井利哉(高井経営労務事務所 特定社会保険労務士)


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制度の概要とパート労働者、企業に与える影響は

パート労働者の働き方と企業の対応

制度改正によって起こるその他の問題点

(本記事は平成28年4月4日時点の情報に基づいています)


ことし10月から短時間労働者の社会保険適応範囲が拡大されます。
現時点では大企業に限った措置ですが、いずれ中小企業にまで及ぶ可能性が高いとみられます。
ここでは、制度の概要と企業の対応について考察します。

制度の概要とパート労働者、企業に与える影響は


平成28年10月1日から、改正厚生年金法等が施行され、パート労働者(短時間労働者)への社会保険適用が拡大されます。

社会保障と税の一体改革として平成24年8月に成立した年金機能強化法によって定められた制度ですが、4年あまりの猶予期間を経てようやく適用されます。

改正の概要は、図表1のとおりです。

図表1 社会保険の短時間労働者への適用拡大

社会保険適用拡大の対象となるのは、(1)から(3)の条件のすべてを満たし、かつ、(5)の条件に該当する企業に勤務しているパート労働者です。

週の所定労働時間が20時間以上であっても、年収が106万円未満であれば適用の対象とはなりません。

今回の改正により、新たに保険適用となるパート労働者は25万人と推定されます。

従業員数は、「適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定」することとされており、簡単にいえば、現行の社会保険の被保険者数が基準となります。

つまり、現行の基準で社会保険が非適用であるパート労働者がいる場合でも、被保険者数が500人以下であれば適用拡大の対象にはなりません。この点に注意が必要です。


■改正の目的

今回の改正の目的は、

【1】被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正する

【2】社会保険制度における、働かないほうが有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備えるとされています。


【1】の目的もさることながら、より比重が置かれているのは、【2】の目的でしょう。労働力人口が減少するなかで、女性の積極的な労働参加を促す足枷の1つとなっているのが、「働かないほうが有利になるような仕組み」だという認識があるからです。

厚生年金保険等の被保険者(第2号被保険者)の配偶者が、被扶養配偶者となるための収入要件は年収130万円未満です。いわゆる「130万円の壁」です。

一方で、一般に「4分の3要件」といわれる「被用者保険適用の壁」があります。週の所定労働時間が、フルタイムの労働者の4分の3以上であれば社会保険加入の対象となります。こちらは、事業主にとって、社会保険料の負担が生じるかどうかの壁でもあります。

この2つの壁を崩すのが、パート労働者への社会保険適用の拡大であり、政策的には、「働き方に中立な社会保障制度」と呼ばれるものです。

端的にいえば、第3号被保険者から第2号被保険者への移行を促し、第3号被保険者を減少させることを狙いとしているともいえるでしょう。

(続く)

企業実務



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