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公開日:2013年5月20日

人材の確保・定着、コスト削減… いま中小企業に求められる「福利厚生」を考える 月刊「企業実務」 2013年6月号

西久保浩二(山梨大学 生命環境学部 地域社会システム学科 教授)


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多くの中小企業では福利厚生施策に多額の費用を投じることはできませんが、従業員の定着促進等を図るため、逆に内容を充実させている企業もあります。福利厚生の課題とその打開策を探りました。


成長企業から学ぶ福利厚生の戦略的活用

福利厚生に対する関心や期待が極端に低い中小企業

図表1 福利厚生費の実態図表1は厚生労働省「平成23年就労条件総合調査」から、従業員規模30~99人の最小規模層と1,000人以上の最大規模層を比較したものです。

これは法定外福利費だけではなく、労働費用や現金給与についても参考として比較を行なっており、いずれも従業員1人当りの月額平均値です。また、最小規模層と最大規模層の両層の格差についても指標値を算出しています。

まず法定外福利費を見ると、「30~99人」では4,587円となる一方、「1,000人以上」の大企業層では1万3,042円となっており、ほぼ3倍の格差があることがわかります。

一方、労働費用全体や現金給与における格差を見ると、「1,000人以上」の最大規模層の100に対して、前者が74、後者が78という状態で、2~3割程度の格差があることがわかります。

このような実態は長年続いていることから、福利厚生における企業規模間での格差が際だって著しいことが指摘されてきました。

格差の論拠は様々に指摘されるところですが、対現金給与額比率などを算出してみると、中小企業層では1.5%という極端に低い値になっています。経営問題の解決策として、福利厚生に対する関心や期待が極端に低いといえそうです。


横並び発想の施策では経営的効果を得られない

では、中小企業が福利厚生に対して貴重な資金を投じることで得られるものは何でしょうか。

筆者は「経営的効果」だと考えます。

一般に、「人事労務制度が目に見える具体的効果をどのようにもたらしているか」という点の可視化は難しく、ましてや福利厚生制度については投資と効果の因果関係が曖昧な点があります。

そこで、これまで筆者が取材した範囲の事例から、福利厚生費という人材に対する投資行動と経営的効果との明確な因果関係があることを確信できる具体例を紹介しながら、活用のあり方を考えていきます。

まず、もう数年前になりますが、大手ゲーム制作企業の子会社を取材する機会がありました。

当時は、大企業では法定外福利費の縮小が続き、社宅・独身寮、保養所、社員食堂などのハコもの(ハード)の廃止・縮小がメディアで報じられていました。そうした時期であったからこそ、強く印象づけられたケースです。

(続く)

企業実務



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