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公開日:2015年5月16日

12月からスタート 確実に進めておきたい「ストレスチェック」の準備事務 月刊「企業実務」 2015年5月号

安部敏志(人事・労務コンサルタント)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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労働安全衛生法の改正により、ことし12月1日から従業員数50人以上の事業場に実施が義務づけられるストレスチェック(50人未満の事業場は、当分の間は努力義務)。
どのように準備していけばよいのか、そのポイントを解説します。

※(本記事は4月3日時点の情報に基づいています)


ストレスチェック制度導入の背景には、過去最多を更新している精神障害の労災請求件数など、増加を続ける労働者のメンタルヘルス不調の問題があります。
その主な目的は、労働者自身によるセルフケアと職場環境改善を通じてメンタルヘルス不調の未然防止を図る一次予防です。
今後、指針で制度の詳細が示されますが、その骨子となる報告書が昨年12月に、また厚生労働省令案が3月に発表されています。
12月の制度開始に備えて、企業の実務担当者が準備しなければならないことや、考えておくべき事項について解説します。


すぐに準備すべき事項にはどんなものがあるか

(1)体制整備・衛生委員会の活用

制度開始に備えて、まず行なわなければならないのが、組織内の体制整備です。具体的には、担当者を誰にするのか、組織内での進め方に関する意思決定や労働者への周知などをどのように行なっていくかについて、検討・決定しておく必要があります。
また、労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対して、衛生委員会の設置と毎月1回以上の開催を義務づけています。
報告書では、この衛生委員会を活用し、下表の12項目を調査審議したうえで、ストレスチェック制度の社内の取扱いを内部規定として策定し、労働者にあらかじめ周知することを求めています。


●調査審議すべき12項目

(1)ストレスチェックを実施する目的
(2)ストレスチェックの実施体制(実施者等の明示)
(3)ストレスチェックの実施方法(使用する調査票、評価基準・評価方法を含む)
(4)個人のストレスチェック結果に基づく集団的な分析の方法
(5)ストレスチェックを個々人が受けたかどうかの情報の取扱い(事業者による把握、受検勧奨を含む)
(6)個人のストレスチェック結果と集団的な分析結果の利用方法
(7)実施事務従事者による個人のストレスチェック結果の保存方法
(8)個人のストレスチェック結果の事業者への提供内容と労働者の同意の取得方法
(9)ストレスチェックの実施者または事業者による個人のストレスチェックに係る情報の開示、訂正、追加または削除の方法
(10)ストレスチェックに係る情報の取扱いに関する苦情の処理方法
(11)労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること
(12)ストレスチェックに関する労働者に対する不利益取扱いの防止に関すること


(2)実施目的の明示

前述のとおり、ストレスチェックを実施する目的は、労働者自身によるセルフケアと職場環境改善を通じてメンタルヘルス不調の未然防止を図る一次予防です。
制度の義務化の決定までには、メンタルヘルス不調者の発見による人事上の不利益取扱い、産業医の責任問題、企業の安全配慮義務への影響など、様々な懸念が示され、議論がなされました。
そのため、企業内で制度を実施する前に「法令の趣旨・目的に沿った対応を行なう」旨を労働者に周知しておくことが大事です。

(3)実施者と実施事務従事者の決定

実施体制としては、まず実施者と実施事務従事者を決める必要があります。
実施者は、医師、保健師のほか一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士であることが求められています。50人以上の事業場には産業医の選任義務がありますし、報告書でも、産業医がストレスチェックの実施者となることが望ましいとされています。
また、ストレスチェックの実施そのものを外部機関に業務委託する場合にも、事業場の産業医が共同実施者として密接に連携することが望ましいとされています。
なお、50人未満の事業場には産業医の選任義務がありませんので、ストレスチェックの実施を含めて、全国47都道府県に設置されている「産業保健総合支援センター」の活用をお勧めします。同センターは、独立行政法人労働者健康福祉機構が運営しており、50人未満の事業場は原則として無料で利用することができます。
次に、実際に企業内の担当者となる実施事務従事者ですが、担当者の決定には注意が必要です。
人事上の不利益取扱いにつながることを防ぐため、「ストレスチェックの受検者となり得る労働者について、解雇、昇進または異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」は、ストレスチェックの実施者または実施事務従事者になれないと省令案では規定されています。
しかし、企業の人員体制等の状況によっては、人事担当部署の従業員が実施事務従事者にならざるを得ないケースもあります。
その場合も、実施事務従事者は、労働安全衛生法104条の規定による守秘義務が課されるため、ストレスチェックの実施の事務に携わることで知り得た秘密を所属部署の上司を含む他者に漏らしてはならないなど、個人情報の厳格な管理が求められます。
加えて、実施事務従事者の業務は、あくまで実施者の指示のもとに行ない、所属部署の指揮命令を受けないということを周知することが求められます。



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