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公開日:2014年10月16日

労使双方にメリットあり!? 「限定正社員」の可能性と課題を正しく理解しよう 月刊「企業実務」 2014年10月号

【株式会社高橋賃金システム研究所/多摩労務管理事務所】髙木厚博(社会保険労務士)、西重剛史(社会保険労務士)、奥林美智子(社会保険労務士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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給与や処遇をどのように定めるか

限定正社員の給与や処遇については、正社員とのバランスを考えることが重要です。
正社員と限定正社員との給与をほとんど同じにしては、正社員に不満が生じます。
逆に、差をつけすぎては、限定正社員が不満を持ち、限定正社員になりたいという人が少なくなってしまいます。

先述の厚生労働省のアンケート結果によれば、限定正社員の賃金水準については「正社員の8~9割」とする企業が多いようです。
これが1つの基準になりますが、仕事の負荷に見合った差として、正社員、限定正社員双方が納得できるものとすることが大切です。

また、労働契約法に、処遇については就業の実態に応じたバランスを考慮すべきとあり、名称だけ限定正社員という区分を設けても、何ら正社員と変わりない就業実態であれば、その賃金の格差は合理的とはいえません。

たとえば、勤務地限定正社員の場合、正社員も実態としてはほとんど転勤がないのに、給与だけが異なるといったような場合です。

では、具体的に賃金などの処遇に差をつける場合、どのように設計すればよいのでしょうか。
合理的な差を明確にするためには、まずは正社員の人事制度を明確にしなければなりません。
そもそも、正社員の昇給制度や昇格制度があいまいであれば、限定正社員の賃金制度をつくることはむずかしいでしょう。

一例として、役割に応じた等級を基準としたコース別人事制度を紹介します。コース別人事制度とは、多様な働き方や職種があるなか一律のキャリア設計で対応するのではなく、いくつかのコースを設けて社員を処遇する制度です。
たとえば「総合職・一般職」の区分がこれに当たります。

図表2 コース別等級制度の設定例
図表2は、コース別(全国職コースと地域職コース)の等級制度の一例です。
社員数約100名のサービス業の会社の例ですが、全国転勤可能な全国職コースと転勤のない地域職コースの2つのコースを設定しています。

等級とは社員を役割等によってレベル分けしたもので、等級に応じて給与や賞与などが変わります。
また、等級は社内でのキャリアステップを示したものでもあります。
全国職は6等級まで昇格が可能ですが、地域職は5等級までしか昇格できません。
地域職の人が部長になりたいと思えば、全国職に転換する必要があります。

このように、限定正社員制度を設ける場合は、昇格に差を設けるのが一般的です。
厚生労働省の調査でも限定正社員制度を設けている企業のうち、約半数の企業が昇格に上限を設けていると回答しています。

給与については、図表2のように全国職と地域職で基本給の水準に差を設けたり、昇給額に差をつけることが考えられます。

この方法のほか、基本給は統一とし、手当で差をつけることも考えられます。

以上が処遇における基本的な考え方ですが、高度な専門性を有した「職務限定正社員」については、その職務に対する賃金の世間相場を参考にしつつ、職務の難易度に応じて柔軟に賃金を設計したほうがよいと思われます。

               ◇

限定正社員制度が優秀な人材の確保につながれば、企業側にとってもメリットは大きいはずです。
しかし、現在の議論をみる限り、新しい雇用ルールの創設というよりは、現行法の枠組みにおける限定正社員活用の検討にとどまっている印象を持ちます。

一定のアピールにはなるかもしれませんが、企業側の積極的な採用にはあまりつながらないと思われます。
なぜなら、今回の議論が解雇ルールの抜本的な見直しまでは踏み込んでいないからです。

「勤務地限定正社員」「職務限定正社員」といったところで、事業所が閉鎖になったり、その職務を廃止してもその限定正社員を解雇できないのであれば、限定正社員制度を採り入れる会社側のメリットはあまり大きくありません。

限定正社員の普及を促進していくのであれば、正社員と限定正社員の解雇の有効性の区分を法律等で明確化し、企業にとって使いやすい制度とする必要があると考えます。さらなる議論の進展を期待したいものです。



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