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公開日:2014年4月16日

一律禁止から原則容認へ 社員の「副業」をどこまで、どうコントロールすべきか 月刊「企業実務」 2014年4月号

金山驍(社会保険労務士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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給料が右肩上がりで増えない昨今、副業を認める会社が増えているようだ。
とはいえ、副業で本業に支障が出たりしないよう、一定の線引きは必要だ。
そこで、副業を認める場合の労務管理上の留意点について解説する。


社員の副業について、法律上、明確な禁止規定はありません。個人の生活のリスクマネジメントとして、収入を得る先が複数になっていたほうが安心という側面もあります。

とはいえ、副業に力を入れ過ぎて本業に支障が出ては困りますし、労働時間の通算、通勤災害への対応など考えておかなければならない点もあります。

そこで、一律に禁止するのではなく、副業を原則として認めることを前提として、会社が社員をどこまで、どう管理すべきかについて考えます。

副業を認める前提と必要条件

正規雇用で働く社員が副業を始める目的としては、次のようなものが考えられます。

  • 生活費の補てん
  • スキルの向上
  • 将来の起業のため
  • 趣味の延長

また、想定される副業の就業形態のパターンとしては、

  1. 勤務形式…パート・アルバイト、在宅
  2. 請負形式…内職、制作など
  3. 自営業形式…店舗運営

等が考えられます。

(1)の勤務形式で代表的なものは、本業の業務が終了した後に、コンビニエンスストア等で勤務する、などです。
(2)の請負形式は、アクセサリー制作やラベル貼り等のいわゆる内職、一定の作業の完了をもって納品とするパターンです。
(3)の自営業形式は、自身で飲食業等の店舗を開いたり、インターネットモールに出店したりするパターンです。

いっぽうで労働者(社員)は、常に健康な状態で会社に労務を提供する義務を負っています。
過剰労働になってしまって、本業の業務に支障が出たり、深夜の業務で翌日に遅刻や欠勤したりするのは本末転倒です。

本業の後に深夜遅くまで別のところで就業すれば睡眠不足になり、翌日の業務に支障が出ることが考えられます。

また、賭博業や風俗業等に従事していることが発覚すれば、企業のイメージダウンにつながり、本業に迷惑がかかります。

同業他社でアルバイトをしたりすることは、秘密漏えいにつながったり、競業による営業への損害が発生しかねない、という問題があります。

原則として容認するといっても、次のような職種に就くことを認めるべきではありません。

  1. 屋外作業、特に身体・精神的に負荷がかかる仕事
  2. 会社の機密保持ができない職種(同業、競合他社)
  3. 賭博業、風俗業等
  4. 安全と健康が維持しにくい職種

就業時間中の副業(会社のパソコンや自分の携帯電話を使って、出店・通販サイトの管理をしたりオークションサイトで転売・落札をすること等)も、職務専念義務に違反していると解釈することができます。

副業の実態を把握し、適切に管理するためにも、副業に関する就業規則をしっかりと定め、ルールを明確化することが大切です。

副業を認める場合の選択肢は、

  • 許可制にする
  • 届出制にする
  • 完全解禁する

という3つのパターンが考えられますが、完全解禁としてしまうと、会社にとって好ましくない副業をするかもしれません。

企業秩序を守るという観点からは、一定の歯止めを設けるという視点が必要です。

「許可制」「届出制」の場合、副業の内容を使用者に告知して、その承諾等を求めることになります。
副業を認めるとはいっても、正式な手続きをとらず、隠れて副業をすることは懲戒処分の対象になります。

そこで、就業規則に「副業」の項目を設けるとともに、服務規律、懲戒規定を可能な限り連動させます(規定例参照)。

規定例 副業を認める場合の就業規則(許可制)

【副業】
(社員の副業)
第○条 社員が就業時間外に副業(他社勤務、請負、自営業等)を行なう場合は、事前に会社に届け出て、許可を得なければならない。無許可の副業はこれを禁止する。
(副業先について)
第○条 同業他社および賭博業・風俗業等、当社社員として相応しくない副業先における副業はこれを禁止する。
(副業許可申請書兼誓約書)
第○条 社員が就業時間外に副業を行なう場合は、副業を行なう2週間前までに、副業許可申請書兼誓約書、その他会社の指定する必要書類を会社に提出し、許可を受けなければならない。
(副業の許可)
第○条 社員が提出した副業許可申請書兼誓約書を勘案し、副業の可否を判断する。副業により会社の業務に支障をきたした場合は、副業を終了しなければならない。
(副業による機密漏えい防止)
第○条 社員は、会社の業務に関し、その職務上知り得た機密について、副業先に漏えいしてはならない。機密を漏えいした場合は、第○条第△項第□号に定める懲戒に処す。
(就業中の副業による懲戒)
第○条 社員が会社の就業中に副業をしていることが発覚した場合は、第○条第△項第□号に定める懲戒に処す。
(無断の副業による懲戒)
第○条 社員が会社の許可を受けずに副業をしていることが発覚した場合は、第○条第△項第□号に定める懲戒に処す。

【服務規律】
第○条社員は、職場の秩序を保持し、業務の正常な運営をはかるため、次の各号の事項を守らなければならない。
               (中略)
□  常に健康を維持できるよう、体の自己管理に気を配ること。特に副業(他社勤務、請負、自営業等)を許可された者は、健康管理に注意すること。
□  会社の許可なく副業(他社勤務、請負、自営業等)をしないこと。
□  会社の勤務時間中に、副業(会社のパソコンや自己の携帯電話を使って、出店・通販サイトの管理やオークションサイトでの転売・落札等)をしないこと。

【懲戒規定】
第○条 社員が次の各号の一に該当するときは、訓戒、減給、出勤停止、降格に処する。ただし、情状により訓戒にとどめることがある。
               (中略)
□  会社の許可を受けず副業をしたとき
□  勤務時間中に、副業をしたとき
□  会社の業務に関し、職務上知り得た機密を副業先に漏えいしたとき



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