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公開日:2014年2月16日

地位と報酬にふさわしく 取締役等の会社に対する責任の軽減・免除のあらまし 月刊「企業実務」 2014年2月号

鄭一志(弁護士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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会社の取締役等は、経営責任を厳格に追及すると、消極的な意思決定しか行なわなくなる恐れがあります。そのため会社法では、その責任を軽減できる制度が設けられています。
ここではその制度の概要を紹介します。


行動の原因に着目する

取締役は、株主総会決議による選任を経て、会社との間で委任契約を結び、会社の経営を任されます。
会社と取締役とはこのような関係にあるため、受任者である取締役は、会社経営にあたって、委任者である会社に対して善管注意義務を負います。

ここでいう善管注意義務とは、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務のことをいいます。

つまり、取締役は、会社のために法令を遵守して、会社(株主)の利益を最大化できるようにし、不用意な損害を与えないように配慮して職務を執行しなければなりません。

もしも取締役としての職務を怠って(任務懈怠)会社に損害が生じた場合には、その取締役は会社に対して損害を賠償する義務を負うことになります。
そして、会社の株主も、このような取締役の責任(損害賠償義務)を、株主代表訴訟によって(会社に代わって)追及することが可能です。


損害賠償責任は取締役を退任しても消えない

また、会社の取引規模は一般には個人の経営活動とは比較にならないほど大きいため、万一取締役が任務を怠って会社に損害を生じさせた場合、その損害賠償額は個人では負担できないような金額になることがあります。

他方、取締役に就任している間に生じた任務懈怠による損害賠償責任は、取締役を退任しても消滅しません。
取締役の任務懈怠による損害賠償責任の消滅時効は10年とされていますが、その間は取締役在任時の責任を追及されるおそれがあります。

さらに、その損害賠償債務は、相続の対象にもなります。
たとえば、会社の取締役であった夫を亡くした妻が、ある日突然、会社(株主)から損害賠償を求められることもあるのです。


取締役の責任免除制度の必要性

経営のプロたる取締役の会社に対する責任は重大ですが、会社経営に失敗はつきものです。
会社に生じた損害の責任をあまりに厳しく問おうとすると、経営リスクを極端に恐れる萎縮効果を招き、かえって会社の利益を損なうこともあり得ます。
そのため、取締役の責任を一定程度、軽減できる制度が必要になります。

また昨今、会社のガバナンス強化のため社外取締役の重要性が喧伝されていますが、社外取締役の負う責任の重さは社内の取締役とほとんど変わりません。

社外取締役の職務は主に経営を監視することですが、軽微な過失で違法な経営を見落としてしまった場合、巨額の損害賠償責任を負う危険があるのでは、その人材確保はますます困難となってしまうでしょう。

そこで、政策的に、社外取締役を含む社外役員について、その責任を軽減できる制度を設ける必要があります。


会社法上の取締役の責任免除制度の概要

会社の所有者は株主ですから、全株主の同意があれば、取締役の任務懈怠に基づく損害賠償義務はその全額を免除できます。

逆にいうと、任務懈怠による損害賠償責任を全額免除するには、多数の株主のいる会社では現実的には困難ということになります。

そのため会社法は、株主全員の同意がない場合でも、取締役・監査役が一部免除の必要性について個別に責任をもって判断し、株主総会決議や取締役会決議(定款の定めが必要)を得ることで、任務懈怠による損害賠償責任の一部を免除できる制度を設けています。

また、社外役員については、就任することのリスクを軽減できるよう、一定の要件のもと、事前に責任限定契約を締結できる制度があります(図表1)。

図表1 社法の責任免除制度の概要
以下、それぞれの制度について解説します。



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