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公開日:2013年12月16日

オフィス、借上社宅など 賃貸物件の入居・退去にまつわる実務質問Q&A 月刊「企業実務」 2013年12月号

梅原ゆかり(弁護士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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オフィスや借上社宅の入居・退去時には、賃貸借契約に関する知識が不足していたり、不動産業界特有の慣行に不慣れなためにトラブルに遭遇することも多いもの。
ありがちなトラブルの予防策や解決法を探ります。


数ある契約形態のなかでも、不動産賃貸借契約は最も馴染みのある形態の1つかもしれません。
本稿では、不動産への入居時と退去時にスポットを当て、その問題点などについて法律的視点から解説します。

【Q】入居・退去時によくあるトラブルとは何ですか。

【A】不動産賃貸借契約の最初の段階である入居、契約の最後の段階である退去の時点は、様々なトラブルが発生しやすいポイントです。

入居時のトラブルとしては、借主が支払った手付金が返還されないケースや、約定したタイミングに入居ができないケース(前の借主が退去しない場合や新築・リフォームが遅れている場合など)があります。

一方、退去時のトラブルとして最も多いのが、敷金(保証金)が返還されないケースです。

さらに、借主が借入物件をどこまで原状回復すべきか、借主が設置した造作物を貸主に買い取るよう請求できるか、借主が貸主に代わって修繕等を行なった場合の費用の請求ができるか、などのトラブルもよく起きています。

契約する・しないは当事者同士の自由とはいえ、双方の力関係では借主のほうがどうしても弱くなりがちです。そのため法律上も、様々な形で借主の保護が図られています。


入居時に起きやすいトラブルとは

【Q】気に入った物件が見つかり仮予約をお願いしたところ、仲介業者に「手付金を入れてほしい」といわれました。契約締結に至らない場合は、この手付金は返ってきますか。

【A】賃貸借契約の申込みの際に、手付金、予約金など名目を問わず、契約意思をはっきりさせるために、一定の金員の支払いを求められることがあります。

「手付金」という言葉がよく使われる例として、売買契約を考えてみます。

売買契約の場合、手付金は契約成立の際に買主から売主に対して授受されます。その後、この契約を無効としたい場合は、買主は手付金を放棄することにより、また売主は手付金の2倍を返却することにより、契約を解除できます。

手付金という言葉のもつこのようなイメージから、手付金を預けた借主から契約を締結しない旨の意思が示された際に、手付金をそのまま没収してしまう貸主が少なくありません。

しかし、名目いかんを問わず、賃貸借契約が成立する前に支払った金員は「預り金」になりますので、借主は返還請求が可能です。賃貸借契約は、仲介業者がいる場合には、重要事項の説明等を経て、契約書を書面で取り交わしてはじめて成立します。

逆にこれらの行為がない以上、まだ契約は成立していないと主張できます。
したがって、物件の仮予約のみで契約の締結に至らなかった場合は、相手方に対して手付金の返還を請求できます。


【Q】気に入った物件が見つかり、賃貸借契約を締結しましたが、前のテナントが退去しないので入居を遅らせてほしいといわれました。従わなければならないのでしょうか。

【A】貸主の多くは、テナントとの賃貸借契約が終了することがわかると、すぐに新テナントの募集を始めます。これは、空室期間、すなわち家賃が発生しない期間をできる限り短くしたいという貸主側の思惑からです。

しかし、時間的に余裕のない新賃貸借契約を締結したことにより、結果的に、新旧テナントの入居期間が重なってしまった場合は、貸主の契約不履行となります。

賃貸借契約書には、いつから入居が可能か、明確に記載があるはずです。

決められた期日に入居ができない場合には、貸主の「使用・収益させる債務」の不履行となりますので、場合によっては賃貸借契約の解除ができますし、また同時にこの不履行により借主が被った損害の賠償請求もできます。

質問内容は、旧テナントが立ち退かないケースでしたが、請負業者の工事遅延により新築物件の完成が遅れて約定期日までに入居できなかったケースや、物件リフォームが遅延し、約定期日までに入居ができなかったケースも、同様に貸主の責任となります。



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