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公開日:2012年12月16日

労災保険のメリット制に関する基礎知識 月刊「企業実務」 2012年12月号

大高勝(社会保険労務士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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メリット制とは、労働災害の発生率の違いにより、労災保険料が増減する制度です。実務担当者として知っておきたい基本的な事項を解説します。


労災保険率は、事業の種類ごとに定められています。

しかし、事業の種類が同じでも各企業の災害防止努力の違いにより、個々の事業場の災害発生率には差が生じます。

そこで、保険料負担の公平性の確保と労働災害防止努力の一層の促進を目的として、その事業場の労働災害件数の多寡に応じて、一定の範囲内で労災保険率または労災保険料額を増減させる制度が設けられています。
これを、メリット制といいます。

メリット制の仕組みは、継続事業、一括有期事業、単独有期事業で異なります。

継続事業のメリット制

継続事業において、その業種の労災保険率から非業務災害率(全業種一律1,000分の0.6)を差し引いた率を±40%の範囲で増減させて労災保険率を決定します。これを「メリット料率」といいます。

継続事業では、「事業の継続性」に関する要件と「事業の規模」に関する要件を同時に満たしているかどうかで、メリット制適用の可否が判断されます。

(1)事業の継続性

メリット制が適用される保険年度の前々保険年度に属する3月31日(以下「基準日」といいます)において、労災保険の保険関係が成立してから3年以上経過していること。

(2)事業の規模

基準日の属する保険年度から遡って連続する3保険年度中(以下「収支率算定期間」といいます)の各年度において、使用した労働者数に関して、次に掲げるAまたはBのいずれかの要件を満たしていること。

A:100人以上の労働者を使用した事業であること。

B:20人以上100人未満の労働者を使用した事業であって、災害度係数が0.4以上であること。
災害度係数は、労働者数×(業種ごとの労災保険率-非業務災害率)で算出される。

メリット制が適用される時期は、連続する3保険年度の最後の年度(「基準日」の属する年度)の翌々保険年度となります。

たとえば、平成22~24年度が連続する3保険年度の場合には、平成24年度から翌々保険年度に当たる平成26年度にメリット制が適用されます(図表1①)。
図表1 継続事業と単独有期事業のメリット制の概念図

メリット料率を求めるには、まず、メリット収支率を算定する必要があります。
メリット収支率とは、連続する3保険年度中の保険料に対する保険給付の割合であり、おおむね算式1①により算定します。

算式1 メリット収支率とメリット料率の算定式

次に、このメリット収支率を図表2増減表1に当てはめてメリット増減率を判定します。

図表2 メリット増減表

そして「基準となる労災保険率(その業種の労災保険率)から、非業務災害率を引いた率」を、判定したメリット増減率で増減します。
この値に非業務災害率を加えたものが、「メリット料率」になります(算式1②)。

メリット収支率をメリット増減表に当てはめると、次のようになります。

  1. メリット収支率が75%以下のときには、その値が小さいほど労災保険率が低くなります(最大40%の割引)。
  2. メリット収支率が85%を超えるときには、その値が大きいほど労災保険率が高くなります(最大40%の割増)。
  3. メリット収支率が75%を超え85%以下のときには、労災保険率は規定どおりとなります(増減なし)。

一括有期事業のメリット制

一括有期事業(2以上の一定規模以下の有期事業を一括して1つの事業とみなして労災保険を適用するもの)のメリット制の仕組みは継続事業とほぼ同じです。

ただし、平成24年度の制度改正で、「事業の規模」に関する要件が、「連続する3保険年度中の各保険年度において、確定保険料の額が40万円以上であること」とされました(以前は100万円以上)。

これに伴い、メリット増減率については、連続する3保険年度のすべてで確定保険料の額が100万円以上の場合は図表2増減表1が適用されますが、うち1年度でも「40万円以上100万円未満」となった年度がある場合には、増減表2が適用されます。

単独有期事業のメリット制

単独有期事業では、事業終了(建設工事などの終了)後、いったん確定精算した労災保険料の額を、メリット制により増減しています。
メリット制の適用の対象となる事業は、次の(1)、(2)のいずれかを満たす事業となります。

  1. 確定保険料の額が40万円以上(ただし、平成23年度以前に成立した事業は確定保険料の額が100万円以上)であること。
  2. 建設の事業は請負金額が1億2,000万円以上、立木の伐採の事業は素材の生産量が1,000立方メートル以上であること。

単独有期事業では、事業終了後(終了日から50日以内)、労災保険料の確定精算を行ないます。確定精算後の労災保険料を「確定保険料」といいます。

その後、その事業での保険給付と保険料をもとに算定したメリット収支率に応じて、確定保険料を増減します。この増減した確定保険料を「改定確定保険料」といいます(算式2)。

算式2 改定確定保険料の算定式

その際、確定保険料を増減させる基準は、継続事業や一括有期事業の場合と同様、「メリット収支率」です。
単独有期事業におけるメリット収支率は、原則として事業終了日から3か月を経過した日の前日までの保険給付を分子に、確定保険料を分母に算定します。

ただし、発生した業務災害が重篤で、保険給付の期間が事業終了日から3か月以上続く被災者がいる場合は、事業終了日から9か月を経過した日の前日までの保険給付と確定保険料によってメリット収支率を計算します(図表1②)。

改定確定保険料は、メリット収支率を図表2増減表3に当てはめてメリット増減率を判定し、その増減率に基づき算定します。

改定確定保険料と確定保険料との差額が発生した場合、追加徴収または還付を行ないます。

図表3図表4は、メリット制の計算例です。

図表3 継続事業にメリット制が適用される場合の計算例

図表4 単独有期事業にメリット制が適用される場合の計算例


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