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公開日:2012年10月16日

必要十分な対応を 会社に求められる「安全配慮義務」を検証する 月刊「企業実務」 2012年10月号

北岡大介(社会保険労務士)

企業実務TOPICS(総務・人事)


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職場で従業員が労働災害などのトラブルに遭い、健康が損なわれることがありますが、その際、損害賠償請求の理由として主張されることが多いのが会社側の安全配慮義務違反です。トラブル防止の要点を押さえましょう。


安全配慮義務は昭和50年以降に最高裁の判例法理によって導き出されたものですが、平成19年に労働契約法が制定され、次のとおり成文化されています(同法5条)。

(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

同条は、労働契約の基本的ルールの1つとして、安全配慮義務を明文で確認したものです。安全配慮義務の具体的な中身を知るためには、裁判例の動向を追う必要があります。

安全配慮義務が確立された背景を振り返ると…

職場における労災事故等に対して、労働者が使用者に損害賠償責任を求める場合、その法的根拠を不法行為(民法709条等)とすることが通例でした。

しかしながら、不法行為請求は「損害を知ったとき」からの時効期間が3年とされており(同724条)、比較的早期に請求権が時効消滅します。
また、不法行為構成は請求する労働者側に、使用者側の故意・過失の立証責任が課されており、主張立証が必ずしも容易ではありません。

これに対し、債務不履行構成での請求(同415条等)が認められれば、時効期間が10年(同請求権を行使し得る時点から)となるうえ、使用者側の故意過失に係る主張立証は必要となりません(ただし、後述しますが、予見可能性を含めた安全配慮義務を立証する必要があります)。

そこで、労災等に対する損害賠償請求の法的根拠として「安全配慮義務違反」を主張する例が増えるようになります。

そうしたなか、最高裁第3小法廷は昭和50年2月25日判決(陸上自衛隊八戸車両整備工場事件)において次の判断を示しました。

「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解すべき」

「右のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべき」

以上のとおり、法律関係の付随的義務かつ信義則上負うべきものとして、安全配慮義務があることを最高裁判決が明確に確認したのです。

さらに最高裁第3小法廷は昭和59年4月10日判決(川義事件)において、以下のとおり労使関係における安全配慮義務に係る判断を示します。

「雇傭契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解するのが相当」

「もとより、使用者の右の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によつて異なるべきものであることはいうまでもない」

同判決によって、安全配慮義務は労働契約関係にも及び、その内容は労働者の職種、労務内容、労務提供場所等、具体的状況によって異なる点が明らかとなりました。

それでは、どのような場合に使用者は安全配慮義務を負うことになるのでしょうか。以下、3つの視点から内容を確認します。



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