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公開日:2018年1月23日

2018年に施行が予定されているビジネス関連法令をチェックする 月刊「企業実務」2018年1月号

若林忠旨(特定社会保険労務士)


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第2次安倍政権発足後、労働関係諸法令の改正や審議が数多く行なわれており、2017年だけでも多数の改正・建議等が行なわれました。
 
ここでは、すでに改正法が成立し、2018年1月以降に施行が予定されている法律(図表1)のうち労働関係法を中心にチェックしていきます。

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改正職業安定法のポイント

すでに2017年4月1日付で施行されている項目もありますが、以下は2018年1月1日に施行される項目です。

(1)労働条件の明示事項の追加

従来から、ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行なう場合には、応募者に対して一定の労働条件の明示が義務付けられていました。
 
今回の改正により「試用期間に関する事項」「労働時間に関する事項」「時間外労働に関する事項」「募集者の氏名または名称に関する事項」が追加されることとなりました(図表2)。
general_1801_23  
「試用期間に関する事項」については、試用期間を設けているのか否か、また、試用期間中に従事すべき業務内容と試用期間終了後に従事する業務内容が違う場合、それぞれ従事する業務の内容を明示する必要があります。
 
さらに、法律ではなく指針として改正された規定として、裁量労働制を採用している場合、みなし労働時間の明示が必要となり、時間外労働の有無に関わらず、一定の手当を支給する制度(いわゆる、固定残業代制)を採用している場合、「基本給など、固定残業代単価計算の基礎となる金額」「固定残業代に含まれる時間と金額等の計算方法」「固定残業代に含まれる時間を超えて残業をした場合、割増賃金を追加で支払うこと」について明示をするよう求められています。

(2)労働条件の明示時期

採用時の面接等により記載されていた労働条件に変更があった場合には、当初の内容と変更があったかどうかを確認できるように、変更確定後、可能な限り速やかに変更内容について明示をすることが義務付けられました。
 
これには、面接等の過程で労働条件に変更があった場合にも、速やかに求職者に知らせるように配慮をする必要があります。変更部分の明示は、求職者が変更内容を適切に理解できるようにする必要があります。
 
具体的には、当初の明示内容と変更後の内容を対照できる書面を交付する方法が望ましいとされています(図表3)。
 
なお、(1)(2)に違反した場合は(虚偽の内容や、明示が不十分な場合)、行政による指導監督(行政指導や改善命令、勧告、企業名公表)や罰則等の対象になります。

改正雇用保険法のポイント

改正雇用保険法は2017年に公布されましたが、このうち、2018年1月1日に施行される項目は次の2つとなります。

(1)専門実践教育訓練給付の給付率を、費用の最大70%に引き上げる

教育訓練給付制度のうち「専門実践教育訓練給付」は、中長期的なキャリア形成を支援する目的のため、より専門性の高い資格や分野の学習を対象としており、今回の改正で70%が支給されるようになりました(従来は60%)。訓練終了後に雇用されていた場合の追加分を加えた場合の支給額は、56万円(従来は48万円)です。
 
ただし、10年間に受給できる総額としては最大168万円(従来は144万円)までとなります。
 
専門実践教育訓練は、看護師や介護福祉士などの医療福祉系の資格や、会計や経営学、臨床心理などの大学院課程やIT関係の資格取得、一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得など、訓練期間が長く専門性が高いものが対象となります。

(2)移転費の支給対象に、職業紹介事業者等の紹介により就職する者を追加する

従来、ハローワークが紹介した職業に就職する等により、住所または居所を変更する必要があった人に対して交通費や移転の費用等が支給されていたものを、職業紹介事業者(ハローワークとの連携に適さないものは除く)によって紹介・就職された場合でも同様に支給されることとなりました。

改正確定拠出年金法のポイント

確定拠出年金法等の一部を改正する法律(改正DC法)は、2016年5月24日に成立、同年6月3日に公布されました。
 
多岐にわたる細かい改正内容が含まれていますが、今回施行されるのは「DCの掛金単位の年単位化」となります(図表4)。

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(1)掛金の拠出時期の年単位化

従来、毎月掛金を拠出する必要があったものが、年1回以上、掛金を拠出すればよいものとなりました(例:半年払い、年払い)。
 
ただし、政令により「12月から翌年11月までの12月間が該当する単位」とされており、また、加入者とされる期間計算の基礎となる期間のみ掛金を拠出することができます。
 
つまり、多くの企業が決算時期としている4月から翌年3月まで等、年間単位を企業が自由に設定することはできず、掛金拠出についても、まだ到達していない期(現状であれば、2018年1月以降)の分を先に拠出することはできないこととなります。
 
掛金の拠出方法については、規約で「各月ごとや半年ごと等」に定めることも可能となります。

(2)拠出限度額の年単位化

パ加入者区分ごとに月額の拠出限度額が規定されていたものを、各月の加入者区分に応じて企業型DC・個人型DCそれぞれに積み上げた額とされます。
 
これにより、年間の拠出総額は変わらないものの、拠出限度額を使い残していた分が効率よく拠出することが可能となりました。
 
ただし、掛金納付の単位とされる12月間を超えて、使い残した拠出限度額を繰り越すことはできません。図表4にもあるとおり、この改正により、拠出限度額の使い残し分を賞与月など余裕がある月にまとめて拠出することが可能となります。

(3) 年単位化に伴う企業型DCに係る掛金の納付期限日の設定

従来、各月の企業型DCの掛金を、翌月末日までに納付することとされていました。
 
これが、企業型DCの納付期限日は、拠出する期間の最後の月の翌月末日までの日とされました(納付期限日までに掛金を納付することが困難であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合には、納付期限を延長することも可能となります)。

改正障害者雇用促進法のポイント

改正障害者雇用促進法は、2013年6月19日に公布され、順次、障害者の権利に関する条約批准に向けた対応として「差別の禁止」や「合理的配慮の提供義務」等が施行されていました。
 
今回の「法定雇用率の算定基礎の見直し」が最後の施行となります(ただし、法定雇用率の見直しは、今後も基本的に5年ごとに行なわれます)。
 
今回の施行に合わせて民間企業 の法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられたためそちらに目が行きがちですが、今回の改正で大きな変更点は、「障害者の雇用義務に精神障害者が加わること」と「法定雇用率の計算に使用する『算定基礎』に精神障害者が加わること」です。
 
長時間労働や職場のいじめなどのハラスメント等によるメンタルヘルス障害事案が増えており、これらによって精神障害となる人も飛躍的に増えています。
 
ところが現状では、「身体障害者および知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定して、事業主等に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するもの」とされており、精神障害者を雇用した場合、法定雇用率にカウントすることはできましたが、義務として雇い入れる対象ではありませんでした。  
これが、改正法の施行によって変更となるので注意が必要です。
 
さらに法定雇用率は、2018年4月から3年以内に0.1%引き上げられて2.3%となりますが、具体的な時期については今後、労働政策審議会で話し合われることとなっています。
 
現在、身体障害者や知的障害者の増加率は横ばいから減少傾向にあり、また高齢化が進んでいるといわれています。逆に、精神障害者の人数は年々増加傾向にあり、対象者の年齢も20代後半から30代と働き手といわれる世代の人が多く含まれます。
 
そのため、法定雇用率が2.3%となる時期が近づけば、精神障害者の雇用について真剣に考え、また、採用を進める必要が出てくるものと思われます。
 
同時に現在、障害者を雇用しなくてはならない事業主の範囲は従業員50人以上とされていますが、これが、2018年4月1日から45.5人以上に広がります。いままで義務が生じていなかった45.5人以上、50人未満の事業主は注意が必要です。
 
よく話題となる障害者雇用納付金制度による障害者雇用納付金の申告・納付義務が生じる対象企業が、「常時雇用する労働者数が100人を超える」ケースであり、それ以下であれば対象とならないと考えている企業も多いため特に注意が必要です。


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