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公開日:2011年4月18日

労働時間の管理をタイムカードから出勤簿による自己申告制に変えたい 月刊「企業実務」 2011年4月号

坂井求(特定社会保険労務士)

実務相談室


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[問]当社では、タイムカードによって労働時間を管理していますが、手間を考え、今後は出勤簿による自己申告制での管理を考えています。この際の注意点を教えてください。

(東京都T社)

[答]労働時間の管理方法をタイムカードから出勤簿による自己申告制度へ変更する場合、この制度は例外的措置であるという認識をしておく必要があります。
導入に際して注意する点としては、「従業員に十分説明すること」「必要に応じて実態調査を行なうこと」「適正な申告を阻害するような取扱いを避けること」が挙げられます。


ポイント解説

適正把握基準における自己申告制度

厚生労働省が定めた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(以下、「適正把握基準」といいます)では、始業・終業時刻を確認し、記録する方法は、原則として、

  1. 使用者自らの現認(直接確認・記録をすること)
  2. タイムカード等の客観的な記録を基礎として確認・記録をする方法

のいずれかによるものとされています。
一般的には、(2)の方法により労働時間を管理している企業が多いでしょう。
この場合は、タイムカード等の記録を集計したうえで、必要に応じて残業届、遅刻早退届等の勤怠に関する社内文書と照合するなどして確認・記録をします。

一方、「適正把握基準」は、前述の(1)または(2)の方法ではなく、従業員の自己申告制によって労働時間の管理を行なうやり方を、いわば例外的な措置としています。

その理由は、自己申告制にすると労働時間の記録の正確性を証明するのがむずかしいこと、何らかの圧力により正確な申告が妨げられるおそれがあること、また不正申告の発見がむずかしいこと、などが挙げられます。

労働時間の管理をタイムカードから自己申告による出勤簿管理へ変更する場合は、この点をしっかりと認識しておく必要があります。

自己申告による出勤簿管理

「適正把握基準」は、従業員の自己申告による管理方法を導入する場合には、次に掲げる措置を実施するよう求めています。
(1)制度を導入する前に、対象労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行なうことなどについて十分説明すること
説明の際には、労働時間や時間外労働の定義という基礎的な知識から、正確な申告を行なうことの重要性、そのために守るべき点まで説明する必要があります。

この説明が不十分だと、従業員が30分未満の残業時間を切り捨てて申告するなど、曖昧に労働時間を申告することにつながります。

また、管理職への説明・教育も重要です。管理職のなかには、従業員が残業の申告をすることを嫌う人もいますが、適正な申告を絶対に阻害しないよう、十分に説明しておく必要があるでしょう。 (2)自己申告により把握した労働時間が、実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること
たとえば、同部門の他の従業員と比較して、明らかに残業時間が多い、または少ない労働者に対しては、正確な申告がなされているか実態調査を行なう必要があります。

この調査によって、どの部門の人員が足りないのか、各従業員の業務効率はどうなのか、といった貴重な情報を収集することもできます。
(3)労働者の労働時間の適正な申告を阻害することを目的とした、時間外労働時間数の上限の設定などはしないこと 残業削減のための社内通達を出す、残業が少なかった従業員にインセンティブを与える等の措置も、従業員の正確な労働時間の申告を妨げるおそれがあります。

このような措置が一概に間違っているわけではありませんが、運用する際には十分に注意しておく必要があります。


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