NJ Publishing Sales - NJ Business Online

総務・人事 | エヌ・ジェイ出版販売株式会社


【お知らせ】 月刊「企業実務」好評発売中!

Home総務・人事実務相談室 ≫ 商店街のアーケードの修理費用を各店舗で出し合った際の経理処理...
公開日:2011年4月18日

商店街のアーケードの修理費用を各店舗で出し合った際の経理処理 月刊「企業実務」 2011年4月号

植田卓(税理士)

実務相談室


このエントリーをはてなブックマークに追加  

[問]従業員20名の小売業の経理課長です。自社の店舗がある商店街で、このたび大規模なアーケードの修理を行なうことが決まり、そのための修理費を各店舗で出し合うことになりました。

修理費は1店舗当り約60万円なのですが、どのような経理処理をすればよいのでしょうか。

(大阪府K社)

[答]アーケードは通常、商店街に面した店舗等で構成される商店会などが道路上に設置するものであり、各店舗が自己のものとして所有する資産ではありません。

各店舗にとっては、設置や維持のための費用を間接的に負担するということです。
したがって会計上、これを資産に計上するのは適切ではなく、あくまで支出時に費用として処理することになります。

しかし、アーケードを設置することで店の前の人通りが確保できるなど、各商店が負担金を支払った効果は長期間に及びます。
したがって、法人税法では、これを繰延資産として5年間で償却することになります。

ただし、ご質問の場合の負担金は、アーケードの設置や改良ではなく、修繕のために支出するものですから、支出すべき事業年度において全額を損金に算入できるでしょう。


ポイント解説

繰延資産とは

本来、貸借対照表に計上される資産は、預貯金のほかに、売掛金などの金銭債権や棚卸資産、有価証券といった、将来、金銭によって回収されるものや、固定資産のように事業の用途に供されているものをいいます。

これに対して、繰延資産とは、あくまで過去に発生した費用であり、現実には資産として存在していないにもかかわらず、期間損益計算における費用収益対応の原則から、貸借対照表に資産として計上されるもので、具体的には、下に掲げる費用を指します。

たとえば、会社の設立に要する費用は、会社が存続する期間、その効果を発揮し続けることになります。
したがって、費用収益対応の原則からいうと、会社の存続期間にわたって徐々に費用化していくべき、ということになります。

しかし、会社の存続期間をあらかじめ測定することは不可能であり、また、実在しない資産を貸借対照表に計上し続けることは好ましくないため、短期間を前提に、他の実在資産と混同しないように貸借対照表の繰延資産の部に計上することが認められています。

なお、旧商法のもとでは、その施行規則において繰延資産として認められる資産の内容と償却方法が具体的に定められていましたが、会社法のもとでは、そのようには規定されていません。当面の間は、従来の処理に準じて処理をすることになっています。

■貸借対照表の繰延資産の部に計上されるもの

創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債等発行費

上に掲げた繰延資産については、会社法において貸借対照表に計上することを強制しているわけではなく、むしろ短期間に償却することが求められているとも解されています。

したがって、法人税法上は任意償却として会社が処理すれば、無条件に損金算入を認めています。

法人税法上の繰延資産

法人税法では、先に挙げた繰延資産に限らず、支出の効果が1年以上に及ぶものを広く繰延資産として捉えています。
それらは、一般に法人税法上の繰延資産といわれています。

法人税法上の繰延資産は、任意償却は認められません。損金経理要件のもとで、各事業年度において計算される償却限度額までの部分が損金の額に算入されます。

また、貸借対照表の繰延資産の部に計上することはできず、支出時に費用処理したうえで申告調整によって対応します。
貸借対照表に計上する場合には、投資その他の資産において長期前払費用等として計上します。

アーケードの大規模修理の場合

アーケードに関して、法人税法上の繰延資産に該当するかどうかは、その設置または改良のために支出する費用であるかがポイントになります。

今回のご質問は、「大規模な修理」とのことですが、それが原状回復など、あくまで修繕の範囲に留まるのであれば、全額を支出すべき事業年度の費用として問題ありません。

しかし、大部分を撤去してつくりかえたりするのであれば、新たな設置や改良のための費用負担として、繰延資産に該当する可能性があります。


このエントリーをはてなブックマークに追加  




PAGE TOP