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公開日:2011年3月18日

自社の取扱商品が格安で市場に出回って困っている 月刊「企業実務」 2011年3月号

久保内統(中島・彦坂・久保内法律事務所 弁護士)

実務相談室


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[問]海外のブランド商品の独占販売権を得て、代理店に卸しています。
しかし、その代理店が資金繰りに窮したらしく、こちらの想定していない廉売店に格安で卸していたようで、卸値よりもはるかに安い値で市場に出回っています。
ブランド・イメージの失墜につながりかねないので、何らかの規制をしたいと思いますが、よい方法はありますか。

(東京都K社)

[答]代理店との間の商品供給契約などで販売先を制限していれば、それに基づき契約を解除し、商品の回収を図ることが考えられます。

また、ブランド商品について商標権などがあれば、商標権侵害による商品販売の差止請求などができる場合もあります。


ポイント解説

代理店と販売店

海外の有名ブランドの商品化ライセンスなどを取得して独占販売権を持つ会社が、その商品販売を一定の代理店に限定して認める場合、代理店契約を締結して商品を供給することがあります。

一般に「代理店」と呼ばれていても、本来の代理店(エージェント型)は、価格や販売数、販売方法なども商品供給者の計算で行ないます。直営店の代わりですので、御社の指示する方法で販売をしなければなりません。

他方、正規に商品供給を受けているものの、代理権などは与えられておらず、自分の計算と営業方針によって販売しているディストリビューター型の代理店は、「販売店」となります。国内では、「代理店」と称しながらも実際には「販売店」であるケースが多々あります。

ご質問のケースでの「代理店」がどちらを指しているのか、質問の内容だけでは判別がつきませんが、本来の意味での代理店と販売店では法律上も地位や規制の可否に違いがありますので、注意が必要です。

代理店契約による規制

エージェント型の代理店に商品供給をするための代理店契約(商品供給契約)では、商品のブランド・イメージを維持するために様々な規制を課すのが一般的です。

販売エリアの制約、ネット販売禁止などの販売方法の制限、メーカー提供の商品カタログ以外のチラシなどの作成・配布の禁止(宣伝広告方法の規制)、また時には再販売価格や販売先についても制限を課すことがあります。

普通、これらの制限に違反した場合には、代理店契約を解除し、以後の商品供給を停止します。
また、店にある在庫商品を引き取る条項を設けておくのが一般的ですので、契約終了後は、これに従って在庫商品の引揚げ(買戻し)も行なうことになります。

このようにすることで、廉売店への転売などを抑制することが可能となります。

独占禁止法上の問題

ご相談のケースでは、再販売価格と廉売店での販売が問題になっています。

エージェント型の代理店では、販売方法に関する規制は問題になりません。
一方、ディストリビューター型の代理店(販売店)に対して再販売価格や取引先を指示することは、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当するものとして禁止されています。

そのブランド商品の取扱いをするためには、独占販売権を持つ御社を介さなければ、代替的な流通経路を容易に確保することができないからです。

この場合には、御社の想定していない廉売店に格安で卸売することを契約上禁止していたとしても、そのような規制自体が無効になります。
したがって、商品供給を停止する(契約を解除する)ことはむずかしいと考えられます。

ブランド・イメージと商標権

ブランド商品では、ロゴなどが商標登録されているケースが多くあります。デザインや長年の販売戦略によって、ブランドそのものに価値が生じ、結果としてその製品の販売価格も高値を維持していることになります。

もし仮に廉売店が、偽ブランド品を販売していれば明らかな商標権侵害になります。
しかし代理店や販売店から直接に商品を仕入れたのであれば、正規のルートで卸売をしてもらった商品であり、模造品ではないことから、そのブランド製品を安く売っても商標権の侵害はしていない、と主張してくるかもしれません。

しかし、商標権はブランド力そのものを保護するための権利でもあります。そのため、いわゆる廉売店での販売それ自体が商標権侵害にあたるとして、販売差止めが認められることもあります。これによって、ブランド・イメージの低下を防止するわけです。

ただし、商標権に基づいての販売差止請求が認められるには、その条件として、海外のブランド・メーカーから日本国内での商標権行使についての授権を受けていることが必要です。

なお、廉価販売については、ブランド製品としてのあるべき取引を妨害する不正取引であるとして、不正競争防止法違反による対応も考えられます。

しかし、不正競争防止法の場合には、ブランド商品を勝手に廉価販売されたという結果だけではなく、ブランドを無断で使用されることで市場の顧客を奪われた、などの事実も必要になります。
現実の対応手段としては、よりハードルが高くなるでしょう。


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