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公開日:2012年2月18日

傷病手当金を受給している従業員に給与とされずに金銭補助をする方法は 月刊「企業実務」 2012年2月号

坂井求(特定社会保険労務士)

実務相談室


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[問]従業員70名のメーカーの総務部長です。当社の40代の中堅社員が、内臓疾患のために長期間入院することになりました。

入院中は当社の規程では無給扱いとなるのですが、長年勤めてきた功労者であるため、会社としても傷病手当のほか、見舞金などで金銭的な補助をしたいと考えています。

しかし、このような金銭の支払いは、場合によっては給与とみなされ、傷病手当金がその分差し引かれることがあると聞きました。そのようなことを防ぐには、社内制度をどのように整える必要があるのか、教えていただけますか。

(石川県K社)

[答]傷病手当金を受給している従業員に対して何らかの金銭補助を行ないたい場合は、福利厚生の一環として病気見舞金を支給するという方法があります。

ただし、病気見舞金が毎月支給される場合や、就業規則、賃金規程等において給与補てん的な意味合いで定められている場合であれば、傷病手当金との差額調整となる「報酬」とみなされる可能性が高くなりますので、注意が必要です。

結論として、病気見舞金を一時的に支給するか、会社が保険料の全部または一部を補助して、民間保険の所得補償保険に各従業員に加入してもらい、不測の事態に備えるか、という選択になるでしょう。


ポイント解説

傷病手当金

傷病手当金とは、従業員が病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、本人とその家族の生活を保障するための健康保険給付制度です。

支給額は、病気やけがで休んだ期間1日につき、標準報酬日額の3分の2(約66%)に相当する額であり、支給を開始した日から1年6か月を上限として支給されます。
この傷病手当金は非課税であり、雇用保険料の計算基礎賃金にもなりません。

傷病手当金は給料の66%なので、残りの34%を会社が補てんすれば従業員は元の給与の水準を維持できると考える人もいるかもしれません。

しかし、傷病手当金は、これを受け取ることができる期間に傷病手当金以上の報酬を受け取る人に対しては支給されません。
また、報酬の金額が傷病手当金の額よりも少ない場合には、その差額のみ支給することとしています(健康保険法108条)。
したがって、前述のケースの場合であれば、66%から34%を差し引いた32%しか傷病手当金として支給されないことになります。

なお、ここでの「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものを指します。
「病気見舞金」という名目で支給する場合であっても、定期的に支給されたり、就業規則等に明文化されていて、所得補償としての性格をもつものとして位置づけられている場合には、雇用関係に基づいて従業員の生活を保障するために支給されるものとされ、報酬とみなされます。

そのため、報酬とみなされないためには、労働の対償としてではなく福利厚生の一環として、恩恵的に支給されている必要があります。

適切な支払いの仕方

病気見舞金を支給する場合は、一時金として支給するようにします。

金額、支給条件について明文化する場合には、福利厚生規程または慶弔見舞金規程等を作成し、そのなかで、見舞金は会社から従業員への恩恵的なものであるということを明確に規定しておきましょう。

その他の方法として、民間保険会社が提供している、病気やけがによる休業中の収入を補うことを目的とする所得補償保険に加入させるという方法もあります。
民間保険会社から補償金が給付される場合には、報酬とはみなされないからです。

ただし、所得補償保険は、健康状態によっては加入を断わられるケースがある点と、精神障害など一部補償の対象とならない休業の原因がある点に注意が必要です。

なお、賞与については、評価対象期間中に通常勤務をしており、傷病手当金を受給している期間中にその賞与が支払われる場合には、傷病手当金との差額調整の対象にはなりません。


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