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公開日:2011年11月18日

リースで購入するソフトウェアに着手金や中間金がある場合の処理 月刊「企業実務」 2011年11月号

植田卓(税理士)

実務相談室


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[問]3月決算のメーカーの経理部長です。このたび営業部門に新システムを導入することになり、開発業者と契約を結びました。11月から開発に着手し、システム本稼動は来年6月を予定しています。
新システムは、最終検収後にリースで購入することとしていますが、開発業者には購入価額の一部を、着手金および中間金として今期中に支払うことになりました。
この着手金および中間金は、購入代金がリース会社から開発業者へ支払われたのちに当社に全額返還されますが、当社の処理としては、「前払費用」か「預け金」のいずれにするのがよいのでしょうか。

(東京都N社)

[答]ソフトウェアが完成して検収した段階で、購入価額の全額を対象にリース契約が結ばれ、あらかじめ支払った着手金と中間金は全額が返還されるとのことであれば「預け金」として計上します。「前払費用」を用いるのは適切ではありません。
今回購入されるソフトウェアは、所有権移転型リース契約に該当すると思われますので、通常のソフトウェアを購入した場合と同じように、購入価額で無形固定資産に計上したうえで、通常のソフトウェアと同様に減価償却を行なっていきます。また、租税特別措置法に定める特別償却や特別税額控除も受けることができます。


ポイント解説

リース形態の分類

リースの形態は、下図のように分類することができます。

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ファイナンスリースとは、資産を自己資金で購入する代わりに、資産をいったんリース会社に購入してもらって、リース会社から借りる形で事実上の購入を行なう方法です。

ファイナンスリースはその目的から、途中解約ができないか、もしできたとしても解約時にはリース料の残金を全額支払わねばならないという特徴があります。

当初のリース期間が満了すると、賃借人にとっては購入代金の全額を払い終わったことになりますので、資産は賃借人のものになるという理屈が成立します。このような形態のファイナンスリースを「所有権移転型リース」といい、結果的に割賦購入した場合と似ていますので、賃貸借ではなく資産の購入として位置づけられています。

なお、今回のケースのように特注したソフトウェアや機械装置など、汎用性がなく転用できないようなものは、所有権が最終的に移転する旨の契約がなくても所有権移転型リースに該当します。

これらに対して、当初のリース期間が満了しても所有権が移転せず、その後も賃貸借を維持する形態のファイナンスリースを「所有権移転外型リース」といいます。

なお、「オペレーティングリース」とは、ファイナンスリース以外のリースを指し、具体的には、使いたいときだけ借りることができて自由に解約ができるリースが該当します。

所有権移転型リースの会計処理と税務処理

所有権移転型リースは、所有権が最終的に自分のものになり、実態はリース会社の融資を受けて購入したことと変わらないことから、リース料の総額を取得価額として資産に計上し、その後は、通常と同様に減価償却を行なっていきます。
その資産が投資税制の対象となる場合には、特別償却や特別税額控除の適用を受けることも可能です。

所有権移転外型リースの会計処理と税務処理

所有権移転外型リースは、最後まで自分のものにはならないものの、リース会社から融資を受けて購入したという側面もあります。

そのため、リース料の総額を取得価額として資産に計上したうえで、リース期間定額法により、その事業年度において支払うリース料相当額を減価償却費として計上します。

結果的に、リース料を賃借料として処理した場合と比べて、損益は変わらないので、未経過リース料の額を決算書に注記することを条件に、賃借料で処理することも認められます。

ソフトウェアの製作に際して支出した着手金や中間金の処理

「前払費用」は、利子や賃借料、保険料など、単一の契約によって継続する役務提供について、すでに対価の支払いが済んでいるものの、いまだ提供を受けていない部分を指す場合に用いられますので、今回のケースは該当しません。

また、「前払金」は、将来発生する費用や資産の取得費に充当されるものを指しますので、今回の着手金と中間金はこれにも該当しません。

今回のケースで支払われる着手金と中間金は、将来リース契約を締結した時点で返還されることが明らかですので、金銭債権として「預け金」に計上するのがよいでしょう。

なお、「仮払金」に計上しても間違いではありませんが、仮払金のような仮勘定は、前払金のような場合にも使われることから、期中での処理はよいとしても、決算書に表示するのはなるべく避けたほうがよいでしょう。


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