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公開日:2011年9月18日

連絡が取れない株主の株を買い取る方法を教えてほしい 月刊「企業実務」 2011年9月号

平田法律事務所

実務相談室


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[問]従業員50名のメーカーの総務部長です。当社はまもなく創業40年となりますが、ここ7年ほど、創業時に出資した株主の1人と連絡が取れなくなっています。
経営の安定のためにも、この株を買い取りたいのですが、よい方法があれば教えてください。

(新潟県J社)

[答]5年以上継続して通知・催告が到達せず、かつ、剰余金の配当を受領しない、という要件を満たした場合、所定の公告と各別の催告という手続きを踏むことによって、所在不明株主の株の競売・売却(会社の買取りを含みます)が可能です。


ポイント解説

通知・催告の省略

会社(株式会社)の株主に対する通知・催告は、株主名簿に記載された住所(または別に通知された場所・連絡先)に宛てて発送すれば足ります(会社法126条1項)。

さらに、会社の株主に対する通知・催告が5年以上継続して到達しない場合には、以後、通知・催告を省略することができます。

この場合、会社の義務(配当の支払いなど)の履行場所は会社の住所地(本店)となります(同196条1項、2項)。

株式の競売・売却

前述の通知・催告の省略だけでは、依然として株主管理が必要であり、株式事務合理化の支障になります。

そこで、5年以上継続して通知・催告が到達しないことに加え、5年以上継続して剰余金の配当を受領しなかった場合には、株式を競売・売却してその代金を株主に交付することが認められています(同197条1項、2項)。

この追加要件は、会社が配当したにもかかわらず株主が受領しなかった場合のほか、無配である場合でも満たされます。

この要件を満たして認められる「競売」とは、担保権の実行としての競売の例によるとされています(民事執行法195条)。

また、「売却」とは、市場価格のある株式については法務省令で定める方法で算定される金額により、市場価格のない株式については裁判所の許可を得て売却することです(会社法197条2項)。

連絡が取れない株主の株式を売却した場合の代金は、通常、供託することになります(民法494条)。

自己株式の買取り

所在不明株主の株式を売却する場合、会社自身が自己株式を買い取ることもできます。
この場合、取締役会決議で、買い取る株式の数と代金合計額(買取りと引換えに交付する金銭の総額)を定めなければなりません(会社法197条3項、4項)。

この、会社による自己株式の取得については、分配可能額を限度とする財務制限があります(同461条1項6号)。

公示・各別の催告

所在不明株主の株式を競売・売却するためには、前述の要件を満たしているだけでは足りず、事前に公告および各別の催告という手続きも必要です。

公告の方法は、官報に掲載、日刊新聞紙に掲載、電子公告の3つがあります(同939条1項)。
このなかから定款で定めた方法(複数も可)で公告します。定款に定めがなければ官報に掲載する方法によります(同9条4項)。

公告する事項は次の4つです(同1 98条1項、会社法施行規則39条)。

  1. 株主その他の利害関係人が一定期間内(3か月以上)に異議を述べることができる旨(異議申立期間)
  2. 競売または売却する旨
  3. 株主として株主名簿に記載・記録された者の氏名・名称および住所
  4. 株式の数
  5. 株券が発行されている場合には株券番号

また、これらの公告に加えて、株主に対しては各別の催告も必要です。各別の催告は、株主名簿に記載された住所(または別に通知された場所・連絡先)に宛てて発送しなければなりません(会社法198条2項)。

この催告は、到達しない可能性が高いでしょうが、株主の同意なく競売・売却するという重大な問題ですので、慎重な手続きにされているのです。

株券が発行されていて、公告された一定の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、株券は期間の末日に無効となります(同198条5項)。


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