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公開日:2011年6月18日

「自社製品購入制度」を導入する際の税務上の留意点 月刊「企業実務」 2011年6月号

植田卓(税理士)

実務相談室


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[問]従業員30名の小売業です。自社で取り扱っている商品を割安で従業員が購入できる「自社製品購入制度」を導入しようかと考えています。
税務上、どのような点に留意すべきでしょうか。

(愛知県T社)

[答]ご質問の制度は、従業員であるがゆえに認められるものです。
したがって、原則としては会社から従業員に対する現物給与として取り扱われることになり、その利益に対して源泉徴収を行なう必要があります。

ただし、一定の要件を満たす場合には、その利益が少額であること等の理由から、強いて課税するまでには及ばないとされており、源泉徴収の必要はありません。


ポイント解説

従業員に対する値引き販売の性格

会社が従業員に対して、一般に販売する価額よりも低い価額で販売した場合には、従業員はその差額だけ利益を得ていることになります。

この値引き販売は、会社が従業員という限定された相手方に対して行なっているものです。

したがって、この値引き販売による利益は、会社から従業員に対して与えられたものですから、現物給与として課税されることになります。

通常、値引き販売は単発的に発生するものです。法人税法上、使用人に対して行なったものは損金算入できますが、役員に対して行なった場合には、定期同額給与に該当しませんので損金不算入になります。

所得税法上は、使用人であれ役員であれ、給与所得に含まれることになりますので、会社は値引きによる利益の額を給与の支給額に含めて源泉徴収をすることになります。

課税しなくてもよいケース

このように、従業員に対して値引き販売をした場合には、値引き額を現物給与として課税するのが原則です。

しかし、次の要件をすべて満たす場合には、課税しなくてよいものとされています(所得税基本通達36-23)。

(1)値引き後の販売価額が会社の取得価額以上であり、かつ、一般に対する販売価額のおおむね70%未満でないこと (2)値引き率が従業員に対して全員一律で適用されているか、または、従業員としての地位や勤続年数等など合理的な格差の範囲内で適用されていること (3)購入数量は、自己の家事のために通常要する程度の範囲内であること

(1)においては、仕入価額以上であるという要件が付されていますが、例外として、季節外れの商品などのように一般に対しても取得価額未満で販売するような場合には、その価額で従業員に販売しても課税はされません。

また、たとえば不動産販売業者が従業員に値引き販売した場合には、その値引き額は多額になるため、たとえ(1)から(3)の要件を形式的に満たしたとしても非課税とはなりません。

サービスの提供を無償または低額で行なった場合

商品等の値引き販売と異なり、映画館などの興行業、クリーニング業、理美容業、旅客や貨物の運送業などのサービス業を営む会社が、そのサービスを従業員に対して無償または低額で行なった場合には、次のいずれかに該当する場合を除き課税はされません(所得税基本通達36-29)。

  1. 経済的利益の額が著しく多額である場合
  2. 役員だけを対象として行なっている場合
従業員以外に値引き販売をした場合

値引き販売が従業員以外の特定の者に対して行なわれた場合には、その実態に応じて、値引き額は交際費または寄附金の対象になります。

これは、先に述べたサービスの提供を無償または低額で行なった場合でも同様となります。

なお、ここまでの値引き販売とは、従業員または得意先、その他特定の関係者を対象としたものを指します。

これに対して、バーゲンセールや営業時間終了間際での値引き販売、大口購入者に対する値引きなどのように、不特定多数の者を相手にして行なわれるものについては、値引き後の価格が需要と供給とのバランスのもとに形成された「正常な取引価額」であるといえます。

したがって、これらに類する値引きについては、値引き額が仕入価額を下回ったり、本来の売価と比較して極端に差があったとしても、課税上の問題が生じることはありません。


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